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数学は歯みがきチューブのようなもの -- このエントリーを含むはてなブックマーク

18年前に予備校で数学を教え始めた頃から、
「数学は、歯みがきチューブのようなものだ」と教えている。
歯みがき粉のチューブは、フタの底面から見れば丸いし、
正面から見ればほぼ長方形、横から見れば三角形に見える。
それでは歯みがき粉チューブの本当の形は、
丸いのか、四角いのか、三角なのか?というのはナンセンスな質問で、
ご存知の通り、下のような形をしているにすぎない。



数学も似たようなもので、
同じ概念を説明するのにいろいろな方法があって、
習い方によって、それが丸く見えたり、四角く見えたり、三角に見えたりするのだ。

「中学まで数学は得意だったのに高校に入って嫌いになった」とか、
「高校では数学が得意だったのに大学に入って苦手になった」といった話を
とてもよく聞くのだが、それは日本の数学のカリキュラムにおいて
小学校、中学、高校、大学で教える内容があまり親切に接続されていないからだろう。

小学校の算数は日常生活で必要な計算をすることに主眼が置かれている。
中学の数学では、もう少し論理的、言語的に思考する訓練に主眼が置かれ、
出される問題はあたかも論理パズルのようである。
高校の数学は、体系的に事実を公式化し、その公式を正しく使う能力が求められる。
公式当てはめというと無味乾燥なものと考えがちだが、
科学技術立国として大量の技術者を育てる必要があった戦後日本の
国策には非常に適していたということもできるだろう。
大学で数学を専攻する学生は、より論理的に精緻な議論をすることが求められる。
一方、大学院に進めば、精緻な議論ができることを前提として、
より全体感やイメージを捉えることが重要になってくる。

中学のときに数学は丸いと教えられていたのが、
高校になってからいきなり「いや数学は四角いのだ」
と言われれば、面食らって嫌いになる人も多いだろう。
そんな時に、本当は歯みがきチューブなのだということが分かっていれば、
丸い側面から見るのは得意だったということが少しは励みになって、
よし、四角い側面も頑張ってやってやろう、という気になるかも知れない。

このように算数や数学を多面的に見ることは、
海外に住み日本語の補習校と米国の現地校の両方に通う子どもたちにとっては、
もっと早い段階から役に立つ可能性もある。
というのは、日米では計算の方法一つとってもやり方が違うこともあるからだ。
そんなときに、異なる角度から見ればより理解が深まると考えれば、
二通りの方法で勉強するのが必ずしも無駄でないことが分かる。
チューブの形が分かってしまえば、
それが丸く見えても四角く見えても、大きな困難なく理解することができるはずだ。

 
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テーマ : 算数・数学の学習
ジャンル : 学校・教育

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No title

これは数学に限らないのではないでしょうか。

No title

>これは数学に限らないのではないでしょうか。

うーん、そうですかね。
高校に入ったら英語の授業が急に変わった!とか、
高校に入ったら歴史が急に嫌いになった!という人は、
比較的少ないように思うんですが。

つらい話

数学もツライけど、女が自分に対して丸くなったり、四角になったりして、それにつられて自分も丸くなったり四角になったりしなくっちゃならなくなるというのも、ちょっとツライかも。

感想になってないですね。失礼しました。

No title

>grasppmacro2008さん:

女性と数学では、数学と付き合う方がつらいと思いますが、
数学は理由もなく急に変わったりしませんし、
こちらが裏切らない限り向こうから裏切ってきたりしないのは良いところですね。

数学がハミガキ粉のチューブなら、
女性は実際の形が簡単に変わる粘土のようなもののように思えます。

No title

数学って実は自由度が高いですからね
前提条件があって、矛盾がなければ何でもいい

幾何学、数列、代数、微分、ベクトル、行列

みんな根っこは同じ。

まぁ何の役に立つの?って言われるとつらいですが
何が役に立つか分からないですからね
数論とか

No title

あまり詳しくないんですが統計学ってのは小中学生でも十分理解できるような内容なんでしょうか?
統計学って色んな分野で役に立ってるしかなり使える数学ですよね。

No title

あすみんさん:

もちろん数学は、他分野から要請があったことを体系化するっていう意味では
役に立つんですけど、内生的に役に立つことを生み出せるのか、
っていうと微妙な分野も結構多いですよね。

名無しさん:

米国統計学会のポスターセッションには、幼稚園〜小3対象のコンペティションも
ありますよ。最初はグラフとかから入るのがいいと思います。先日、娘に
「パパってグラフとか作るのうまいよね」って言われました。「それ、仕事だから」
って答えときました。


No title

>これは数学に限らないのではないでしょうか。
理系全般にあるフェノミナンかもしれないですね

こちらでは「高一風暴」なんてよばわりされていますね。
https://www.cchere.com/article/3046675

小学校:教師側が学習内容を繰り返すので、ついていかない生徒はほとんどいない。この時教われた数学は基本な算数などで、ロジックをあまり触れていない。だからこの時数学の得点が高いのは、ロジックなどに長ける子より物事を綿密に行う子かも(勿論、細心さはこれからの勉強に役立つが)

高校:教師側が学習内容を繰り返しない。単純な繰り返し練習より頭で理解するほうが肝心
ーーー
>高校の数学は、体系的に事実を公式化し、その公式を正しく使う能力が求められる。
>公式当てはめというと無味乾燥なものと考えがちだが、
こっちでは、中学校と高校のほうが近いかもしれません。が、大学は全然違います。中学・高校の物理は、微分積分を全然使わないことを前提にして書かれたものです。

向き不向きもあるでしょうね

数学は小学校から大学までずっと好きでしたね。実際そこそこできてたと思うし、中学、高校、大学
になっても数学の内容で何かが変わったとか難しくなったとかは感じなかったなぁ…。

逆に社会とか歴史系の科目は中学の時はできてたけど高校になってまったくできなくなってしまった…。
これは内容が変わったからというよりも、興味がなくなったというのが一番大きかったと思いますね。

歴史に限らず、数学(に限らず学問一般に対してでしょうが)も興味を持続させることができるかどうか、
が難しく感じるかどうかというのに結構重要な気がします。人それぞれですね。

No title

yx_whさん:

教え方の問題も大きいでしょうね。高校の微積分でも、しまじろう
(ベネッセが教材に使ってるキャラクター)なんかを登場させて
懇切丁寧に教えればほとんどの生徒が理解できるでしょう。
ただ、そこまでの社会的需要がないというだけであって。

統計学は面白い!さん:

興味の持続はどんな分野でも大事でしょうね。
将棋の羽生さんなんかがよく言ってますね。

No title

はじめまして。楽しく拝読しています。東京在住の社会科学系の大学院生です。
高校から大学入試レベルの数学に悩まされていました。
高校生が数学を学ぶ意義ってなんなのでしょうか。
また、どのような教材で、どのような学び方で、どのような点に重きをおいて数学を学べばいいとおかんがえですか?
機会があれば記事にしてください。
ではでは。

No title

Nikolaiさん:

なるほど、そういう記事を書くのは面白そうですね。
取りあえず、まだご覧になっていなければ、こちらのエントリーをお読みください。

数学を勉強することは無益:
http://wofwof.blog60.fc2.com/blog-entry-482.html
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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