アメリカは住む都市によって経済的リスクが違います
アメリカに来て働こう!さてどの都市で?と考えた時に、
日本人がまず気にするのは、気候のこと、治安のこと、
町の雰囲気とかなんじゃないかと思う。
ウォールストリートやシリコンバレーに求人が集中している
ような分野の人なら考える必要がないけど、
例えば統計分野なんかでも求人は結構各地にばらけている。
もちろん過半数の大学ポストは僻地にあるし、
民間の求人もかなり各地にばらけている。
気候で選ぶのならカリフォルニアやフロリダ、
町の活気だったらニューヨーク、
治安だったらダコタとか?(笑)が良いかも知れない。
で、そんな楽しい空想に耽った後に、例えば、
実際にニューヨークで仕事のオファーもらって、
年俸7万ドルとか言われたりして、うーん家族で暮らして行けるのかな、
と今度はお金のことが気になりだす。
幸運にもインディアナ州あたりの田舎で年俸6万ドルのオファーも
もらったりして、実はこっちの方がお得なんじゃね?
と考えたりもする。
実際、米国に住んでいる限り、ハワイやアラスカを除けば
食費や光熱費なんかはどこに住んでも大して変わらないけど、
家賃や家の値段は都市によってかなり違う。
学生や駐在員なら家賃だけ比べてコストを計算すればいいが、
何年も働くなら買った方が安いかも、ということも検討しなければならない。
何年分の家賃を払えば家が買えるか(P/R ratio)、
というのは都市によってかなり違っていて、
中西部の田舎なら6倍くらいからあるが、
シリコンバレーとかだと30倍くらいしたりする(下表参照)。
もともと大都市の家賃は高いのに、更にこの倍率も高いとなると差は相当なものである。
ただこれは、必ずしもシリコンバレーが割高ということではなくて、
将来の値上がり期待の高い都市の不動産は割高に見えるという話だ。
成長期待の高い企業の株価が割高に見えるのと同じ理屈である。
じゃあ結局、割安で買えるけど不動産が上がらない都市と、
割高だけど不動産が上がりそうな都市ではどっちが得なの?
というのは興味深いので、
「2000年に買った家が13年間分の家賃込みで2013年にいくらになっているか?」
というのを計算して見ると、以下のようになった。

(*1) Case-Shiller 指数を使用。
(*2) CNN Money 調べ。正確なデータがないため、
89-03年の平均P/Rと13年のP/Rからいくつかの仮定を置いて
13年分の家賃を計算。
最高は3.1倍になったワシントンDCで、
最低は1.8倍にしかならなかったアトランタだが、
面白いのは、現在最も不動産が割安なデトロイトと、
最も割高なサンフランシスコの収益率が結果的にほぼ同じだったことだ。
(この間には、ITバブルの崩壊とGM、クライスラーの破綻があった。)
また最近13年間では、DC、ロス、ニューヨークといった大都市が
地下の上昇を背景に上位に入ったが、これはたまたまという側面も強い。
実際、ワシントンDCの住宅価格は1991年から2000年の9年間では
12%しか上がっていないのに対し、デトロイトでは72%、
ミネアポリスでは56%上がっていた。
つまり、成長期待の高い大都市(サンフランシスコ、ニューヨークとか)は、
現在割高な不動産価格と値上がり期待がバランスしていて
結局、得でも損でもないということ。
家賃を払う場合と違って、家を買う場合に大都市が損なのかどうかはよく分からない。
では個人にとって何が違うのかというと、それはリスクの大きさである。
例えば、10万ドル持っている人が家を買うとしよう。
デトロイト郊外で10万ドルの家を全額キャッシュで買って住むと、
価格が5割上下しても、5万ドルの損益しか出ない。
一方、カリフォルニアで50万ドルの家を買うには、
10万ドルを頭金にして40万ドル借りて買うことになる。
価格が5割上下すると、実に25万ドルの損益が出る。
投資理論的に考えれば、
カリフォルニアで家を買った人の方がたくさんリスクを取っているわけだから、
収益の期待値は高いはずだが、そういう事以前に、
住む場所を変えただけでリスクの大きさがこんなにも違う、
ということはとても重要に思える。
もちろん日本でも同様のことが起っているのだが、
一度買った家に一生住み続けるのが基本になっている日本と、
家を換金可能な資産と考える米国では、その重要度はかなり違う。
リスクというと、治安による凶悪犯罪のリスクなどに注目しがちだが、
確実に付いて回る経済的リスクの方が現実には重要なことが多い。
特に日本人にはリスク回避的な人が多いことを考えると、
勤務する都市を選べる人は、こうした経済的なリスクの違いも
考慮してみるべきだろう。


日本人がまず気にするのは、気候のこと、治安のこと、
町の雰囲気とかなんじゃないかと思う。
ウォールストリートやシリコンバレーに求人が集中している
ような分野の人なら考える必要がないけど、
例えば統計分野なんかでも求人は結構各地にばらけている。
もちろん過半数の大学ポストは僻地にあるし、
民間の求人もかなり各地にばらけている。
気候で選ぶのならカリフォルニアやフロリダ、
町の活気だったらニューヨーク、
治安だったらダコタとか?(笑)が良いかも知れない。
で、そんな楽しい空想に耽った後に、例えば、
実際にニューヨークで仕事のオファーもらって、
年俸7万ドルとか言われたりして、うーん家族で暮らして行けるのかな、
と今度はお金のことが気になりだす。
幸運にもインディアナ州あたりの田舎で年俸6万ドルのオファーも
もらったりして、実はこっちの方がお得なんじゃね?
と考えたりもする。
実際、米国に住んでいる限り、ハワイやアラスカを除けば
食費や光熱費なんかはどこに住んでも大して変わらないけど、
家賃や家の値段は都市によってかなり違う。
学生や駐在員なら家賃だけ比べてコストを計算すればいいが、
何年も働くなら買った方が安いかも、ということも検討しなければならない。
何年分の家賃を払えば家が買えるか(P/R ratio)、
というのは都市によってかなり違っていて、
中西部の田舎なら6倍くらいからあるが、
シリコンバレーとかだと30倍くらいしたりする(下表参照)。
もともと大都市の家賃は高いのに、更にこの倍率も高いとなると差は相当なものである。
ただこれは、必ずしもシリコンバレーが割高ということではなくて、
将来の値上がり期待の高い都市の不動産は割高に見えるという話だ。
成長期待の高い企業の株価が割高に見えるのと同じ理屈である。
じゃあ結局、割安で買えるけど不動産が上がらない都市と、
割高だけど不動産が上がりそうな都市ではどっちが得なの?
というのは興味深いので、
「2000年に買った家が13年間分の家賃込みで2013年にいくらになっているか?」
というのを計算して見ると、以下のようになった。

(*1) Case-Shiller 指数を使用。
(*2) CNN Money 調べ。正確なデータがないため、
89-03年の平均P/Rと13年のP/Rからいくつかの仮定を置いて
13年分の家賃を計算。
最高は3.1倍になったワシントンDCで、
最低は1.8倍にしかならなかったアトランタだが、
面白いのは、現在最も不動産が割安なデトロイトと、
最も割高なサンフランシスコの収益率が結果的にほぼ同じだったことだ。
(この間には、ITバブルの崩壊とGM、クライスラーの破綻があった。)
また最近13年間では、DC、ロス、ニューヨークといった大都市が
地下の上昇を背景に上位に入ったが、これはたまたまという側面も強い。
実際、ワシントンDCの住宅価格は1991年から2000年の9年間では
12%しか上がっていないのに対し、デトロイトでは72%、
ミネアポリスでは56%上がっていた。
つまり、成長期待の高い大都市(サンフランシスコ、ニューヨークとか)は、
現在割高な不動産価格と値上がり期待がバランスしていて
結局、得でも損でもないということ。
家賃を払う場合と違って、家を買う場合に大都市が損なのかどうかはよく分からない。
では個人にとって何が違うのかというと、それはリスクの大きさである。
例えば、10万ドル持っている人が家を買うとしよう。
デトロイト郊外で10万ドルの家を全額キャッシュで買って住むと、
価格が5割上下しても、5万ドルの損益しか出ない。
一方、カリフォルニアで50万ドルの家を買うには、
10万ドルを頭金にして40万ドル借りて買うことになる。
価格が5割上下すると、実に25万ドルの損益が出る。
投資理論的に考えれば、
カリフォルニアで家を買った人の方がたくさんリスクを取っているわけだから、
収益の期待値は高いはずだが、そういう事以前に、
住む場所を変えただけでリスクの大きさがこんなにも違う、
ということはとても重要に思える。
もちろん日本でも同様のことが起っているのだが、
一度買った家に一生住み続けるのが基本になっている日本と、
家を換金可能な資産と考える米国では、その重要度はかなり違う。
リスクというと、治安による凶悪犯罪のリスクなどに注目しがちだが、
確実に付いて回る経済的リスクの方が現実には重要なことが多い。
特に日本人にはリスク回避的な人が多いことを考えると、
勤務する都市を選べる人は、こうした経済的なリスクの違いも
考慮してみるべきだろう。
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