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日本人を米国一流大学院に大量に送り込む方法 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

近年、日本は国を挙げて「グローバル人材の育成!」
なんてかっこいい事を言っているけど、要は
「日本国内は空洞化してもうそんなに雇用を確保できないんだよね」
ということだろう。

大学についても国や地方の財政悪化と少子化が相まって、
20世紀末までの規模の研究者を国内で維持することは不可能だ。
国としては「日本の大学の国際競争力を強化する」
という方針を立てないと国策として話が閉じないのは分かるのだけど、
現実問題として日本人研究者を質・量ともに維持していくためには、
海外の大学に籍をおく研究者を増やすしかない。
それに、そうやって海外に広がったネットワークが、
日本のためにならないとは思えない。

しかし日本人に限らず、例えば、米国の大学に就職する研究者の大半は、
米国の大学院を修了しているという現実がある。
つまり、日本人を海外の大学でどんどん活躍させるためには、
海外の大学院、特に一流大の大学院にどれだけ人を送り出すかが
肝心になってくる。

30年前であれば、中国、インド、韓国など他のアジア諸国から
留学する学生も少なかったので、
日本人が一流大学院に留学するというハードルは、
情報が不足しているという点を除けば、今よりも低かったと思う。
しかし世界中から優秀層が殺到するようになった現在では、
日本人が英語圏の一流大学院から入学許可をもらうこと自体が非常に難しくなっている。

日本の政府や一流大学は、この状況を打開するために、
もう少し頭をひねるべきではないだろうか。

一流大学院に留学するにあたって、日本人に欠けているのは英語力とコネだ。
政府は、日本人の子供の英語力を底上げすることは真剣に考えだしたが、
コネの方については全く手つかずの状態と言っていい。

私は、統計学科の博士課程に進んだが、
米国の統計学科には元々日本人が非常に少ないため、
日本人の志願者がいても、大学側がそのレベルを判断できずに落とされる、
ということが結構あるようなのだ。
日本人が持っているコネと言えば、
日本の大学にいるごく少数の著名な研究者からの紹介状くらいで
非常に細いものになってしまっている。

それでは、どうやってコネを作っていけば良いだろうか。

まず理解しなければならないのは、米国でキャリアに関するコネとは、
有力政治家の息子であるとか、学長の娘であるとかいった類のものではなく、
相手にどれだけ自分の事を知ってもらっているか、
という非常に日常的なものであるということである。

例えば米国大学院の修士課程に1年間在籍した韓国人の学生Aが、
同じ学科の博士課程に出願したとしよう。
その学生の修士時代の成績は4点満点で3.7点。悪くないが特別優秀でもない。
出願者は全部で4人で、他の3人B,C,Dは他大学からの志願者だ。
Bは中国からの志願者で成績は4.0点、
Cはインドからの志願者で3.8点、
Dは米国の他大学からの志願者で成績は3.5点。
大学側は誰を合格させるだろうか。
もし大学が、Aには博士課程の学生の平均以上のポテンシャルがある、
と思ったならばAを合格させるだろう。
もしかしたらBが一番優秀かも知れないが、
Bの出た中国の大学の成績は当てにならないかも知れないし、
TOEFLのスコアが高かったとしても、実際にどのくらい英語ができるのかは分からない。
場合によっては、CやDが合格する可能性もある。
Cと同じ大学の卒業生が博士課程に在籍していて、特別優秀だったらどうだろう。
同じくらい優秀であることを期待して、Cを採用するかも知れない。

いずれにせよ、米国では先に内部に入り込んでしまった者が圧倒的に有利なのだ。
実際に、アジア諸国の富裕層はそうやって時間をかけながら、
したたかに良いポジションを獲得していく。

そういった状況を考慮して、例えば、日本政府や一流大学は、
大学3年の9月、あるいは1月から半年〜1年間、米国等の一流大学の学部に
短期留学させる制度を作ってみてはどうだろうか。
学位を得るための正規の学生ではないから入学試験も回避できるケースが多いし、
費用的にも、半年なら学費と生活費合わせて1人3万ドルくらいで送り出せるだろう。
国が年間千人の枠を作っても、3000万ドル(約30億円)で済む。
安くはないかも知れないが、年間30億円でどのくらい道路が作れるかと
比べれば十分に効果の高い人材投資だろう。
しかも90年代にやった大学院重点化とは違って、後処理が必要ない。

日本の一流大で2年半みっちり勉強した学生なら
いきなり専門科目を履修できるだろうから、米国の学部3年生と比べれば、
ほぼ確実に抜きん出た専門能力を見せつけることができるだろう。
そこで教授とコネを作っておけば、その大学の大学院に入るにも、
他の大学の大学院に入るにも有利になる。
運良く、博士課程の入学許可が下りれば、多額の財政援助が付いてくる。
たった半年の期間と3万ドルでそれだけの効果が得られれば、費用対効果は抜群である。
むしろ個人で金を払って行っても良いくらいだろう。
日本人の米国博士号取得者は年間500人くらいだったと思うが、
こうした「作戦」がうまく行けば倍増も夢ではない。

中国人やインド人が米国の大学を席巻しているが、
大半の学生は、コネも金もなく、ビザの取得も難しい中で、
自分の能力だけを頼りに大学院の入学選考で勝負しているのが現状だ。
そうした方法がうまくいくのは、
教育レベルが高く経済的に貧しい大勢の国民が
豊かさを求めて激しい競争を繰り広げる場合に限られるように思う。

中国やインドの10分の1の人口しかいない上に語学の上でもハンディを抱える日本人は、
潤沢な資産やビザの取得が容易であるというメリットを最大限に利用して、
彼らが羨むような全く別の方法で、コネを構築して戦うべきではないだろうか。


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テーマ : 留学
ジャンル : 海外情報

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No title

日本人は珍しいので,多様性を重視する観点から合格しやすいようなことも聞いたことがあるのですが,そうでもないのですかね。学部か大学院かにより,また専攻により事情も違うのかもしれませんが。

経験上,潜り込んだ者勝ちというのには同感です。

No title

zさん:

それは、両方の側面があるでしょうね。得する場面もあるのは事実です。

No title

今すぐにでもやるべきですね。奨学金の拡充はもとより、エリートの養成を謳う大学では、国際教養大学のように1年ほどの留学を必修課程にすれば良いと思います。

ただ、アメリカの名門大学におけるアジア系学生の席巻は、留学生だけではなく、アメリカ国籍を有するアジア系アメリカ人が圧倒的に多いことも考えなくてはいけません。

1920年代のアイビーリーグでは、ユダヤ系学生の増加を阻止するために入試制度が変更されるほどでした。それでも彼らは教育の重要性を軽視せず、今日の支配階級で圧倒的な存在感を示しています。

しかし近年、ユダヤ系に代わってアジア系の学生がアメリカの名門大学で躍進しています。酷い差別にも関わらず、名門大学を卒業したユダヤ人がアメリカの中枢に幅広く存在することを考えると、大量のアジア系エリート学生が大きな権力を有するまでに時間は掛からないでしょう。

こうしたアジア系エリート候補ですが、残念なが日系アメリカ人は他のアジア系に比べて大変少ない状況です。そもそも日本からの移民が少ないので、仕方のない部分もあります。しかし、超大国の支配層が日系以外のアジア系に置き換わっていく状況にどう対処すべきかは考えておく必要があると思います。

日本からの移民を日本政府が推奨することは出来ないでしょうから、国費の留学生を出来るだけ拡充することは、唯一現実的な対抗手段のように思えます。

No title

Chizさん:

日本の一流大に関しては、留学をカリキュラムの一部に組み込むのみならず、留学を通して、米国の大学に意味のある人脈を作るというところまで考えて、カリキュラムを編成するべきだと思っています。大学で留学制度が充実するのは良い事ですが、現状では、若いうちに語学を習得させるという面に偏り過ぎです。もっと色々な方法を試してみるべきでしょう。

留学生だけでなく、有名大学にアジア系移民が増えているのも重大な事実ですね。むしろ、ボリュームとしてはそちらの方が大きいでしょう。その中に日系の移民が少ないのは、結局のところ日本の知識階層が米国に移住して子供を育てていないからで、これをある程度増やすためにも、エントリーに書いたようなことが必要だと思います。

No title

こんにちは!

コネを作るという点では、学部に短期留学というより、研究室に送り込むという方が効率的な気がしますが、どうでしょうか。

アメリカの学部の授業について詳しくないのですが、授業に出席して良い成績をとるというよりは、無給でも何かのプロジェクトに参加する方が、相手も評価しやすいと思います。

実験やプログラミング、1対1の議論なら、座学より英語力の不足の影響が少なそうですし。

自分が通った日本の大学(学部)は、大学内の研究室に所属してそこで卒業論文を書くしか選択肢がなかったのですが、ドイツで通った大学(修士)だと、修士論文は(大学の教官が審査をしてくれる限り)どこで書いても大丈夫でした。

大抵の日本の研究室なら多少は海外の研究室とのつながりがあるでしょうし、ビザなどの問題がなければ、ただ働きしてくれる人を断る研究者も少なそうですが…。

>しかも90年代にやった大学院重点化とは違って、後処理が必要ない。

事情に詳しくないので、「後処理」の意味は推測しただけなのですが、結局海外に言っても日本人なので、その後の仕事が見つからない場合は「後処理」が発生すると思われます。

それにしても、アメリカの大学院ってTOEFLとかGREとかいろいろな試験があって大変そうですね。

それでは。これからのエントリーも楽しみにしています。

ジリ貧

家電のときといい、国際競争では常に韓国が敵役になりそうですね。
そしてこの案やったら日本企業は絶対、短期留学候補者の唾つけに
走ると思いますw(国際教養大学の例もあるし)

でも、それ以前に

東大生は世界企業から実費を貰って修士号等を取り高待遇国際職として一生働く



結局米国に(日系・韓系)研究者増えない!

……と政府が読んでたら、「小学校の英語教育は必要か?」の記事にあった
英語学校が出来るまでは、小学生は文法や読解を英語だと思うかもしれません。

きっとこの案を提唱できるのはWillyさんのような立場の人なんでしょうね。

No title

>ねもさん:

研究室に直接研究要員でというのは確かにそうかも知れません。
一方で、学部生をそんなポジションで受け入れるかどうかは(実験系
などを除くと)疑問ですし、学部でてからじゃ、院に行く布石としては
時間的にロスが出てしまう。試行錯誤が必要だと思います。

>結局海外に言っても日本人なので、その後の仕事が見つからない場合は
>「後処理」が発生すると思われます。

難しいところですね。少なくとも、米国の大学院に行かせておけば
英語圏と日本の双方から選ぶことができるので、全員の面倒を見る
必要はなくなります。イメージ的には半々といったところでしょうか。

mykoさん:

米国の大学院への進出度合いは、日1−10韓くらいでしょうね。
海外に行ったから偉い訳でも何でもないけど、
いくら何でも行く人が少な過ぎということだと思います。
ただ、日本で影響力のある立場のある人から
そういう意見が出る事は稀でしょう。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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