米国で初めてTAをやる時の5つのポイント
米国の多くの大学では、新年度の授業が始まった。やや遅きに失した感もあるが、英語の得意でない外国人が米国の大学でティーチングアシスタント(TA)をやるための心得をまとめておこうと思う。
米国のTAは、主に大学院博士課程の学生が、学費の免除や健康保険料、生活費の給付を受けるかわりに務める教育ポジションである。その名前がイメージさせる範囲を超えて、教員の代わりに演習や講義を受け持つ。
ここでは、授業の出だしに話すことを決めておく、板書やスライドをきちんと準備しておく、といった基本事項ではなく、つい見落としがちな心得を書いていく。
心得その1:初めてのクラスにはギリギリの時間に行く
これは院生時代に日本人の上級生にもらったアドバイスだ。真面目な日本人はつい「初めて教室で学生の前で話すのだから、入念に準備して、時間に余裕を持って教室に・・・・・」などと考えてしまいがちだが、これは大きな間違いである。緊張した学生のたくさんいる教室に、緊張した英語の不自由な新人TAが10分前に教室に着いてしまったら、始まるまでの10分間、一体どう過ごせば良いのだろうか?初対面の大勢の学生を前に、世間話で打ち解けられる「コミュ強」は別として、普通の人なら沈黙が続いて気まずい事この上ない。ギリギリに来て、「間違えて隣りの教室に行っちゃったよ!」と言い訳するくらいが丁度良いのだ。教室のコンピューター機器の操作などが心配であれば、前日に教室に行って確認しておこう。
心得その2:学生の質問が聞き取れなかったら聞き返す
私も含めて、理系で東アジア出身の院生は特にリスニングが弱い傾向がある。そのため、学部生があまり考えずに早口で投げる質問は聞き取れないことが多い。教壇に立つものの責任感で、聞き返せずに質問に答えられなかったりする人がいるが、これは大変よろしくない。全部聞き取れないときは、キーワードだけでも拾う努力をして、遠慮なくもう一度聞き返せば良い。そもそも、英語は音が小さいとうまく聞き取れないので、ネイティブでも聞き返していることは多い。それでも正確に聞き取れないときは、「〜という質問ですか?」と確認すればいい。要は聞き取ることよりも、コミュニケーションが取れることが大事なのだ。
心得その3:堂々と話す
日本人は一生懸命やっている初心者に優しいところがあって、新人が自信なさそうに教えていても、一生懸命さに好感を抱いたりすることが多いが、米国では、自信に満ちた態度が聞き手を安心させることが多い。
心得その4:アイコンタクトが大事
講義している時にずっと黒板を見ていても、学生の方を見ても、別に分かり易さは変わらない、というのが数学をやっている日本人などの典型的な態度で、論理的にはこれは正しいように思うのだが、そういった態度は一般の米国人には通用しない。アイコンタクトは重要な要素である。私のある授業では、10点満点の小テストで、毎回1点や2点を取る学生がいたので、気まずくていつも目をそらして答案を返していたのだが、授業評価に「アイコンタクトがない!」と文句を書かれてしまったことがある。
心得その5:簡単な質問を投げる
米国人は、授業はインタラクティブであるべき、と考える傾向が非常に強い。そのためには学生とコミュニケーションを取る必要があるが、言葉の壁があると気の利いた質問を投げかけても、学生の反応を聞き取れなければ場の雰囲気が壊れてしまう。そこで、まずは簡単なサーベイを取ってみるとか、答えが限定されるような質問を投げるなどして、インタラクションを増やしていくと良い。
日本人が米国の大学で教えるには、言葉の壁も文化の壁もあるので、どうしても軋轢は生じてしまうが、取り敢えず上に挙げたような簡単にできることから初めてみてはどうだろう。
米国のTAは、主に大学院博士課程の学生が、学費の免除や健康保険料、生活費の給付を受けるかわりに務める教育ポジションである。その名前がイメージさせる範囲を超えて、教員の代わりに演習や講義を受け持つ。
ここでは、授業の出だしに話すことを決めておく、板書やスライドをきちんと準備しておく、といった基本事項ではなく、つい見落としがちな心得を書いていく。
心得その1:初めてのクラスにはギリギリの時間に行く
これは院生時代に日本人の上級生にもらったアドバイスだ。真面目な日本人はつい「初めて教室で学生の前で話すのだから、入念に準備して、時間に余裕を持って教室に・・・・・」などと考えてしまいがちだが、これは大きな間違いである。緊張した学生のたくさんいる教室に、緊張した英語の不自由な新人TAが10分前に教室に着いてしまったら、始まるまでの10分間、一体どう過ごせば良いのだろうか?初対面の大勢の学生を前に、世間話で打ち解けられる「コミュ強」は別として、普通の人なら沈黙が続いて気まずい事この上ない。ギリギリに来て、「間違えて隣りの教室に行っちゃったよ!」と言い訳するくらいが丁度良いのだ。教室のコンピューター機器の操作などが心配であれば、前日に教室に行って確認しておこう。
心得その2:学生の質問が聞き取れなかったら聞き返す
私も含めて、理系で東アジア出身の院生は特にリスニングが弱い傾向がある。そのため、学部生があまり考えずに早口で投げる質問は聞き取れないことが多い。教壇に立つものの責任感で、聞き返せずに質問に答えられなかったりする人がいるが、これは大変よろしくない。全部聞き取れないときは、キーワードだけでも拾う努力をして、遠慮なくもう一度聞き返せば良い。そもそも、英語は音が小さいとうまく聞き取れないので、ネイティブでも聞き返していることは多い。それでも正確に聞き取れないときは、「〜という質問ですか?」と確認すればいい。要は聞き取ることよりも、コミュニケーションが取れることが大事なのだ。
心得その3:堂々と話す
日本人は一生懸命やっている初心者に優しいところがあって、新人が自信なさそうに教えていても、一生懸命さに好感を抱いたりすることが多いが、米国では、自信に満ちた態度が聞き手を安心させることが多い。
心得その4:アイコンタクトが大事
講義している時にずっと黒板を見ていても、学生の方を見ても、別に分かり易さは変わらない、というのが数学をやっている日本人などの典型的な態度で、論理的にはこれは正しいように思うのだが、そういった態度は一般の米国人には通用しない。アイコンタクトは重要な要素である。私のある授業では、10点満点の小テストで、毎回1点や2点を取る学生がいたので、気まずくていつも目をそらして答案を返していたのだが、授業評価に「アイコンタクトがない!」と文句を書かれてしまったことがある。
心得その5:簡単な質問を投げる
米国人は、授業はインタラクティブであるべき、と考える傾向が非常に強い。そのためには学生とコミュニケーションを取る必要があるが、言葉の壁があると気の利いた質問を投げかけても、学生の反応を聞き取れなければ場の雰囲気が壊れてしまう。そこで、まずは簡単なサーベイを取ってみるとか、答えが限定されるような質問を投げるなどして、インタラクションを増やしていくと良い。
日本人が米国の大学で教えるには、言葉の壁も文化の壁もあるので、どうしても軋轢は生じてしまうが、取り敢えず上に挙げたような簡単にできることから初めてみてはどうだろう。
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