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確率とは何か?〜娘の夏期講習から -- このエントリーを含むはてなブックマーク


中学生の娘はこの夏、近所の学校で開かれてる夏期講習を取っている。
自分で教えるのはやめたが、何をやったかくらいは2〜3日に一度聞くようにしている。
今日は確率をやったらしい。

私「お〜い、娘。今日の夏期講習は何やった?」

娘「確率。」

私「どんな問題やった?」

娘「例えばA,B,C,D,Eの5人が並ぶ時の並び方は何通りあるかとか。」

私「それ確率じゃないじゃん。」

娘「えっと、ある並び方をする確率はいくつかとか。」

私「AさんとBさんが仲良くていつも隣同士だったら、実現しない並び方もあるんでは?」

娘「そういう実際の確率とは違うんだけどね。」

私「実際の確率じゃないなら何を求めたの?」

娘「誰が好きとか、隣になりやすいとか一切ないって考えて計算するの。」

私「"同様に確からしい"っていう前提を置いて計算するってことだね。
  ところでペニー硬貨をスピンさせた時に表が出る確率はどのくらいでしょう?」

娘「50%?」

私「残念ながら約80%と言われている。」

娘「えっ。」

私「重い面が下に来やすいから。そもそもコインは表裏が違うのだから
  50%という読みはあまり合理的ではない。
  トスなら回転数が違うから確率は50%にもう少し近づく。」

娘「へえ。」

私「でも確率を考える時には、よく裏表が50%と仮定して論理を組み立てる。
  仮定をもとに頭の中だけで推論していくのが確率の理論なんだ。
  一方で統計は表の確率が何%になるのか観察していく。
  確率とはカジノを設計すること、統計とはカジノでプレーすることとも言える。
  確率を世の中に役立てるためには、頭の中で考えた仮定が妥当なのか
  いつも注意しておく事が大事だ。」

娘「なるほどね。」
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No title

Willyさんが指摘されている「確率」に関するこの種の誤解は、日本でも全く同様です。大学の教養講義で「飛行機に乗ったとき、その飛行機が墜落する確率はどのくらいか(どうやって確率を求めるか)」という問題を出すと、墜落するかしないか二択だから1/2と答える学生が毎年1-2名は居ますから。
結局高校で教えている「受験数学」では、入試問題に出る形の数学しか教えないので、同様に確からしい素事象に分解される場合以外は扱わず、その結果それ以外の場合は見たことがないから考えられないのでしょう。そもそも教えている高校教員自体が、それ以外の場合を知らないと思います。

> 残念ながら約80%と言われている。

これは勉強になりました。そこまで差があるとは想像外でした。この辺りの統計的確率値をまとめている文献は存在するのでしょうか?
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Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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