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家族旅行が高い日本、安いアメリカ -- このエントリーを含むはてなブックマーク

夏に久々に日本に帰って思ったことの一つは、
「とにかく旅費が高い!なんだこりゃ!」ということだった。
妻の親戚をたずねて家族3人+義母で名古屋まで2泊3日で行ったのだが、
新幹線代だけで4人だと往復約8万円、
宿泊費は豪華な朝食付きだったが4人×2泊で約9万円と
交通費と宿泊費だけで17万円もかかると知って、
「うわっ、17万?!」
「飛行機でバケーションに行く訳じゃあるまいし!」
と奴と二人で改めて驚いてしまった。
今回は目的がはっきりしていたから良かったが、
観光だけが目的だったらコストセンシティブ(=貧乏)な
我が家は間違いなく計画を断念していただろう。


ところで、我が家では毎年冬休みに買い出しを兼ねて
シカゴ旅行に行くのが恒例になっている。
中西部の田舎の小さな大学町で5年間を過ごした私達家族にとって
休みに華やかな繁華街と日本の店があるシカゴに行くのは、
冬の少ない楽しみの一つだった。その習慣は今も続いている。
デトロイトからシカゴまでは約300マイル(480キロ)、
日程は2泊3日なので、物理的には名古屋旅行とあまり変わらないか
むしろ遠いくらいである。

さてここで問題。
この家族旅行の予算(交通費+宿泊費、税込)はいくらでしょう?

あ) 2100 ドル (17万円弱)
い) 1400 ドル
う) 700 ドル

正解は・・・









え) 250ドル。

ちなみに内訳は、ガソリン代が往復で100ドル、
ホテル代が一泊75ドル(税サ込)。
ただし朝食はついていない。

なんでこんなに値段が違うんだ?と考えてみると
要するに日本は何でも一人当たりで費用がかかってくるのが理由だ。
シカゴのホテルは今回は郊外に取ったので特に安いが、
2人用ベッド×2(キング+クイーン)の部屋で
何人泊まっても料金は変わらない。
1人でも子供連れの4人家族でも一泊75ドルだ。
ちなみに、日本で泊まったホテルより古いが
部屋の設備自体はあまり変わらない。

移動も車なので4人までなら何人でも費用はほとんど変わらない。
日本の新幹線と米国の車旅行を比べるのはフェアでないかも知れないが、
通勤用に車が必須のアメリカと日本の都市部では事情も異なる。
日本の都市部では車を維持するのには
駐車場代、自動車税、車検代と多額の費用がかかり、車両の値落ちも早い。
東京から京都までの高速料金はETC割引を使っても往復で1万円、
ガソリン価格も米国より約70%高い。
マイカーで旅行するための費用も実はかなり高い。


一言でまとめると、日本の旅行事情は人数の多い家族に厳しいということだ。
しかしこの料金体系が妥当なのかどうかはかなり疑問だ。
例えば日本で、
20代独身、30代DINKS、40代4人家族、60代老夫婦
という4パターンを考えてみよう。
余暇のために消費できる金額が家族一人当たりで多いのはどのパターンだろうか。
おそらく
60代老夫婦 = 30代DINKS > 20代独身 > 40代4人家族
の順ではないか。

家族の人数が多く住宅ローンと教育費を抱えたオトーサンたちに
そんなに余裕があるようには見えないし、
過去15年ほどの賃金低下で一番影響を受けたのは
40〜50代あたりのはずである。

旅館やホテルが、40代4人家族から
30代DINKSや60代老夫婦の2倍の料金を取ろうとするのが
賢い商売だとはあまり思えない。

新幹線にしてもごく一部の繁忙期を除けば結構空席が目立つ。
国が有休取得の強化などを促して需要をもう少し平準化させることも大事だが、
利益を損なわずに空席を埋めるための手っ取り早い方法は、
こうした顧客の階層ごとに価格差別を行うことではないのか。


大家族で気軽に旅行もできない社会では、ますます少子化も進む。
日米の対照的な例を見て、
もう少し家族に優しい日本社会になると良いなと願う、
コストセンシティブな30代家族持ちなのであった。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

日本メーカーは白物家電の北米市場で成功できるか -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本の民生電機メーカーは地デジバブルの崩壊後、
新たな収益源を探しており、パナソニックなどは
米国の白物家電市場に参入ことを決めているらしい。

米国の安い白物家電といえば、
冷えムラのせいでヨーグルトが凍る冷蔵庫、
変な棒のせいで薄い衣類に穴が開く洗濯機、
と、ろくなことはない。
高品質が自慢の日本メーカーが
今までどうして参入していなかったのか、不思議なくらいだ。
一方で、ほんの10年前に米国の冷蔵庫市場に参入した韓国の
サムスンはいまではトップシェアを握った。

貿易摩擦などの大人の事情もあるのかも知れないが、
そういうものを抜きにして考えると、
日本メーカーがこの市場で「不戦敗」に甘んじているのは、
市場調査が不十分だったためではないか、という気もする。
白物家電はAV機器などに比べて、
その国の文化的な事情に合わせる必要性が高いからだ。

冷蔵庫一つとっても、日米では諸事情がかなり異なる。
大きな違いをいくつか挙げて見よう。

冷蔵庫は低付加価値商品?

これは私の仮説に過ぎないが、
日本メーカーが米国の白物家電に参入してこなかったのは、
「白物家電=低付加価値商品」
というイメージがあったからではないかと思っている。
しかし、少なくとも米国において冷蔵庫が
低付加価値商品であるとは思えない。

米国の家庭用冷蔵庫は、主に、
昔からある、冷凍庫が上にあって2枚扉の トップフリーザー・タイプ、
左が冷凍庫、右が冷蔵庫になっている2枚扉の サイドバイサイド・タイプ、
上が観音開きの冷蔵庫で、下が引き出し式冷凍庫の フレンチドア・タイプ、
の3種類だが、容量にせいぜい50%程度の違いしかないにも拘らず、
それぞれ、$500前後〜、$1000〜$1500ドル、$2000〜3000ドル、
と価格帯に大きな違いがある。
きちんとトレンドを読めば、付加価値の高いものが売れるように思う。

買った冷蔵庫は誰のもの?

日本では、冷蔵庫は買った人のものだ。
引っ越した時には、新しい冷蔵庫を買ってくるか、
旧住居から冷蔵庫を運んでこなければならない。

しかし、米国ではアパートでも持ち家でも、
冷蔵庫は住宅設備の一部で個人ではなく住宅に属する。
アパートには冷蔵庫がもれなくついているし、
持ち家を売る時は、通常の売却であれ、差し押さえであれ、
冷蔵庫は置いていかなければならない。
(もちろん、売買契約で特別に明記すれば別だろう。)

米国では、持ち家の所有期間の中央値は10年程度で
賃貸物件に至っては滞在期間が2年半程度だ。
冷蔵庫の耐用年数が15年前後であることを考えると、
冷蔵庫は複数の世帯が引き継いで使うのが一般的であると言える。

だから冷蔵庫は個人の嗜好に加えて、
住宅を売却する際の資産価値としての側面が考慮される。
「住宅を売却する時に見栄えを良くするために冷蔵庫を換えた」
などという話もあるくらいである。
米国の住宅価値の1割はキッチンで決まると言われており、
冷蔵庫はその要となるアイテムだ。

冷蔵庫は機能が大事?

上の話と関連するが、
日本では冷蔵庫は個人の持ち物なので機能がより重視されるが、
アメリカでは住居に属するため見栄えがより重視される。

冷蔵庫に便利でマニアックな機能がついていたとしても、
前の持ち主からそれを引き継いだオーナーは、
幸運にも見つけた日焼けした8年前の取り扱い説明書を熟読するだろうか?
答えはおそらくノーだろう。

端的に言って、日本の冷蔵庫をAV機器のようなものだとすれば、
米国の冷蔵庫は玄関の扉のようなものだと言ってよい。
ともかく見た目なのだ。
米国の近年のトレンドはオープンキッチンであり、
家を売る時はもちろん、家に人を招く時にも冷蔵庫はすぐに目に入る。
特に目に入るのは冷蔵庫の扉である。

米国量販店のホームページで冷蔵庫を検索すれば、
正面の扉の写真しか載っていないことに気付く。
オンラインで冷蔵庫を注文する人のほぼ全てが、
扉と寸法だけを見て冷蔵庫を買っていることになる。
近年のトレンドはステンレス・スティール製の銀色に輝く扉だが
あまり目立たない側面や上面は昔ながらの安い樹脂製で、
申し訳程度にグレーに染めてあるだけである。
全面がステンレス・スティールの冷蔵庫もあるにはあるが、
超ニッチ商品と言って良い。

次に流行る冷蔵庫が、
Wifi内蔵の「スマート冷蔵庫」であることは間違いないと思う。
LG電子はすでにこれを米国市場で売っているし、
アマゾンでは、既存の冷蔵庫にiPadを取り付けるための金具も売っている。
しかし求められているのはおそらく
「タブレットが付いた見栄えのする冷蔵庫」であって、
高機能なスマート冷蔵庫ではない。
その点、日本メーカーが日本で売っているスマート冷蔵庫を
そのまま売るには厳しいだろう。

自動製氷機は必要か?

近年の米国の冷蔵庫は、水道から水を引いて
自動的に濾過した冷水や氷を作り、冷蔵庫を開けずに
専用の注ぎ口からグラスに注げるように出来ている。
しかし「機能より見た目重視だったら、これはなくていいよね」
と考える向きがあるとすれば、それはおそらく間違いだ。

近年流行り始めたフレンチドアも、
初めはこの製氷機のないものが多かった最近では付いたものが多い。
この製氷機は扉の正面についていて目立つので、
付加機能というよりも「見た目の向上」としての面が大きい。
海外メーカーにとっては製氷機をつけるには
構造を変えないといけないので結構な手間になるだろうが、
おそらくそこは乗り越えなくてはならない壁だろう。

ちなみに、このタイプの冷蔵庫が普及した理由の一つには
米国の家の構造にあるように思う。
こんな仕組みでは冷蔵庫の背面に蛇口の無い家では
水を引くのが大変ではないかと最初は思ったのだが、
米国の一軒家は地下がある事が多いため
地下の水道管を分岐させ、
キッチンの床に穴を開けてそこから水を引けば、
工事の手間も少なく、視覚的にもすっきりする。
この工事は100ドル程度で済むので
このタイプが普及したのだろう。



参入を決めた日本メーカーは、
もちろんこうしたことを研究した上で商品を投入してくるだろう。
一方で、プライドをかけてオリジナリティにも拘るに違いない。
日本製品が量販店に並ぶのを楽しみにしていようと思う。


テーマ : アメリカ生活
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クレジットカードマニアになろう -- このエントリーを含むはてなブックマーク

米国ではクレジットで支払う機会が多いので、
クレジットカードにはある程度拘った方が得だ。
我が家では全ての支出のうち7割程度をクレカで支払っている。
現在クレカで払えない大きなものは主に、
固定資産税、家賃や管理費、家の修理費用くらいである。
ちなみに、税金や家賃もある程度の手数料を払えば
クレジットカードで払えることが多い。
その他少額なものでも払えないのは、一部の日系店舗の買い物、
チップ、会費、コインパーキングくらいだ。

クレジットカードで得をしようと言っても、
「今月、この店でこのクレカを使うと10%引!」などと
いうのをいちいち気にするのはきりがないので、
期間や特定店舗の縛りのないものを挙げて見よう。


1.全商品に対する還元率

アメックスとフィデリティの提携カードである
American Express Rewards Card は、
全ての商品に対して2%のキャッシュバックがある。
ただしフィデリティに口座を開く事が条件だ。
年会費は無料。

「アメックスは使えない店もあるので」という向きには、
Capital One Cash Rewards カードは、Visaカードで
全商品に対して1.5%のキャッシュバックがある。
年会費は無料。

最近は、航空運賃、特に日米線の運賃が高騰しているので
キャッシュバックよりマイルを貯める方がお得である事も多い。
大手航空会社の提携クレカの還元率は、
概ね1ドルあたり1〜1.25マイル程度、
カードの年会費は標準やゴールドであれば
50〜100ドル程度のものが多い。

2.よく使われる業態に対する還元率

アメックスの Blue Cash Preferred Cardは、
食料品店で6%、ガソリンとデパートで3%、
その他で1%のキャッシュバックがある。
ただし、年会費が75ドルかかる。

同じくアメックスのBlue Cash Everyday Card は、
年会費が無料だが、食料品店で3%、ガソリンとデパートは2%
にしかならない。

バンカメの BankAmericard Cash Rewards はVisaカードで、
ガソリンが3%、食料品店が2%、他が1%だ。
年会費は無料。ただし、ガソリンと食料品店での還元率を
適用されるのは各四半期で1500ドルまでである。

3.入会ボーナスについて

多くのカードには、入会特典がある。
これを目当てに入会する場合は、
会費がかからないカードについては最低100ドル、
2年目から会費がかかるカードに対しては最低200ドル
以上の特典を目安にすると良い。
ただし多くのカード会社は、新規顧客にのみ入会特典を払う。

なお、この入会特典はクレジットカード会社の景気次第で大きく変動する。

4.ダイレクトメールによるオファー

利用額が多かったり、クレジットスコアが高かったりすると、
クレジットカード会社から勧誘のDMが来る。
これは、金融機関が信用情報機関から有料で個人情報を買って
出していることが多い。
こうしたオファーの中には、公募されているものよりも
ずっと条件の良いものがある。

過去には、入会ボーナス750ドルとか、10万マイル、
1年間全商品に6%キャッシュバック、というものもあった。

5.ギフトカードを使った裏技

食料品店では様々なギフトカード(プリペイドカード)が売られているので、
これを買えば、その還元率で買い物ができる。
例えば、アマゾン、EBay、大手ガソリンスタンド、BestBuy、ホームデポ、
スタバ、マクドナルド、パネラなどだ。
アメックスのBlue Cash Preferred と組み合わせれば、
これらの店舗の買い物は全て6%引きにできる。


相変わらず景気の悪い米国だが、
クレカをうまく組み合わせれば
年間1000ドル程度の生活費の足しにはなるだろう。


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米国民は経済的自由を満喫しているのか? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

戦後の日本の雇用制度は社会主義的な色彩が強く
「日本は最も成功した社会主義国」などと揶揄されることもあるが、
それでは米国民は日本と違って自由経済の恩恵を満喫しているのだろうか?
答えは、イエスでもありノーでもある。

肯定的な側面から取り上げよう。
米国企業は、有能な経営者や専門職には多額の報酬を支払っている。
時価総額で上位100位に入るような企業のCEOは、
典型的に3〜6百万ドル程度の報酬を得ており、
さらにストックオプションを受け取る事も多い。
役員クラスでも大抵、年間百万ドル以上の報酬を受け取っている。
専門職では、PhDやMBAの新卒で10万ドル以上を受け取ることが多く、
管理職につけば年収が20万ドルに達する職業は珍しくない。
報酬の分配という面では、米国は
資本主義的に物事が決まっていると言えるだろう。

しかし、国民が稼いだお金を自分の好きなように使っているのだろうか、
というと少なくとも日本との比較において、その答えは完全にノーだろう。

まず、米国の世帯収入5〜10万ドル程度の中間所得者層に
対する実行税率は日本に比べて非常に高い。
ラフに言って、単身者世帯では5万ドル、夫婦では9万ドルを
超える世帯年収に対する限界税率は、35%を超す。
その内訳は、連邦税の限界税率が25%、社会保障税が7.65%、
州税はミシガンであれば、4.35%である。
日本では、年収800万円(約10万ドル)での限界税率は、
単身者世帯でも26%、4人家族では23%程度に過ぎない。

こうした高率の所得税を免れるためには、
多額のローンを組み不動産を購入して所得控除を増やすか、
401(k)や403(b)、457(b)といった個人年金に加入する必要がある。
こうした年金は制度により多少の違いはあるものの、
基本的に59.5歳以前に引き出すと多額のペナルティーを課せられるものが多い。
もちろん、それまで待ってもその時に所得税がいくらかかるかは誰にも分からない。
ただし、こうした年金も住宅を購入する際には特例として引き出せることが多い。
簡単に言えば、政府は中間所得者層に対し、
精一杯の住宅ローンを組むか、
還暦を迎えるまでお金に手をつけないかの
二者択一を迫っているというわけだ。

それでは高い所得税を払えばあとは自由にお金を使えるかというと、
残念ながらこれもそうではない。

大学の学費高騰は、米国の最大の社会問題の一つだが、
子供の奨学金の受け取りに関し、親の資産にはペナルティーが課せられる。
米国の大学に進学する際に受け取れる奨学金やローンの額は、年毎に
[大学進学にかかる経費] ー [各家庭の支払い可能額(EFC)]
を計算し、それを元に決められるのだが、
EFCには親の資産の5.64%、子供の資産の20%がカウントされる。
親の資産には控除額があるものの、わずかに4万5千ドル(360万円)に過ぎない。
実質的にこれがどれくらいのペナルティーになるかどうかは、
いくらの財政援助を受けられるか、そのうち何割が給付となるかによるが、
お金のある私立大学が必要な額の全額を給付する
という最良のケース(=最悪のケース)では、
4年間で親の資産の約2割、子の資産の約6割もが没収されるに等しいことになる。
このEFCの算出に当たっても、政府の公式では自宅の不動産と年金が除外される。
私立大学はこうした資産を含めて計算することが多いという話も聞くが、
少なくとも政府のメッセージは、
「4万5千ドル以上の貯蓄をするのはけしからん。家か年金に回せ。」
ということなのだ。

「分かった、引退後は自分の資産を自由に使えるんだね?」
と人々は考えるかも知れないが、実態はそうではない。
つかの間の快適なリタイヤ生活を楽しんだあと、
介護が必要になった場合を考えてみよう。

日本では入居待ちの問題はあるにせよ、特別養護老人ホームに入れば、
要介護度5で個室に入居という一番高いケースでも自己負担は月約13万円に過ぎない。
ただし、これは介護保険からの補助が月約25万円出るためだ。

米国では、軽い生活の補助が必要な人が老人ホームに入ると年4万ドル、
介護老人ホーム(nursing home)に入ると年8万4千ドルかかるそうだ(ソース)。
これは2010年のデータだが、費用は1年でそれぞれ5.4%、4.6%上昇した。
現在、介護老人ホームに入る費用は9万ドルを優に超えていることになる。
アメリカの老人用医療保険であるメディケアは、
こうした介護費用を短期間の例外を除き負担しない。
一方予めプライベートの介護保険に入っておく人は、わずか5%程度だという。
そもそも、そんな経済的余裕のある人は多くない。
結局、自分の財産で支払うことになるが、
大半の人は半年以内に一文無しになるそうだ。
(思い出して欲しい。政府に取って4万5千ドル以上の貯蓄は「ケシカラン」のだ。)
結局、政府の低所得者向け保険 medicaid に入れてもらい面倒を見てもらうことになる。

medicaidに入るためには、金融資産が2000ドル以下でなければならず、
その他の資産は、身の回り品、車1台と
525000ドルまでの自宅不動産しか許されない。

つまり、米国では中流階級が
老後に備えると同時に子供にささやかな財産を残そうと思うなら、
無理して大きな家を買い、金の時計やダイヤのジュエリーをたくさん身につけ、
お金に余裕があるなら大きなキャデラックやBMWに乗りつつ、
いざとなった時には相部屋で介護を受けながら侘しい生活を送る
という覚悟を決めることが、合理的な選択なのだ。

日本では、日本人とアメリカ人はアリとキリギリスに例えられるが、
アメリカ人の大多数を占める中間層にとって、
そもそもアリになる権利など与えられていない、
というのが真実なのである。


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米国大学教員は低所得 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

来年あたりに、サバティカル(研究休暇)を取って他大学に滞在しようかと考え、
M州立大学のセミナーに参加するついでにそこの学科長と話をし、
さらについでに住環境を調べようと少し町を回ってみた。

町の雰囲気は歩いてみないと分からない事も多いが、
アメリカの場合は、データを検索すれば分かることもかなり多い。

知らない町のことを調べるとき、私は、まずwikipediaで、
人口とその増減、人種構成、所得水準、産業構造等をチェックする。
遠隔地なら、天気予報のサイトで月別の平均気温を調べる。
この段階でおおよそどんな町かは見えてくる。

続いて、グーグルマップで地図をチェックし、
小中高の学区とそのレベルを調べ、
続いて圏内のアパートと住宅価格を検索する。
また、心配な地域なら地域ごとの犯罪率も検索する。

さらに、航空写真で市の様子を見て、
最寄りのショッピングモールや
スターバックスやパネラブレッド(喫茶店)、ウォルマート、
ホールフーズの位置などを確認する。
ここまでやると、他に何も情報がなくても
住みやすい町かどうかは大体分かってしまう。


閑話休題。
ざっと町の様子を調べた後、
アパートを少し見てみようと思って、ネットで調べて
大学から2マイルほどのところにあるアパートのオフィスを尋ねてみた。

オートロックがかかったビルだったので、
インターホンを使ってオフィスの人を呼び出す。

オフィスの人(以下、OF):「はい、なんでしょう?」
私:「オフィスの方と話がしたいんですが。」
OF:「(ちょっと訝しそうに)それでは今開けます。」

私:「こんにちは〜!」 ← はじめは、大げさに笑顔でナイスに。
OF:「こんにちは〜!」

結構、愛想の良いかんじのおばちゃんである。
ちなみに、何故か米国のアパートのオフィスの人は9割方太っている。
いや、むしろ痩せている人を見た事が無い。

私:「いくつか質問があるんですけど。」
OF:「何かしら?」
私:「来年秋から部屋を借りたい場合、いつ頃申し込むといいですか?」
OF:「あのー、ここはリタイヤメント用で55歳以上の方限定なんですよ〜。」
私:「あ〜、そうでしたか。それで(古い)キャデラックとかたくさん止ってるんですね。」

OF:「学生さん?」
私:「いや、ここの大学に1年間来るかも知れない大学教員なんですけどね。
   ここの大学の先生やスタッフの方ってどのあたりに住んでるんですか?」
OF:「私は、K市(注:かなり遠い市)から週1-2回来てるだけなので
   このあたりの事は良く分からないの。」
私:「そうでしたか。」
OF:「すぐ隣のアパートもうちの会社がやってるんだけど、そこは誰でも入れるわよ。
   それに、そこのオフィスの人は、このあたりに住んでいる人のはずだわ。」
私:「そうですか。アパートの名前は何ですか?」
OF:「前の道路を左に出て、すぐに左に入る道があるので分かると思うわ。」
私:「分かりました。」

気を取り直して、隣のアパートへ。
入り口に「工事中」の看板が。
敷地に入ると理由は良く分からないが、どうも雰囲気が変。
建物が古いわけではないが、家族でここに住める気が全然しない。古い車も多めだ。
引き返そうかとも思ったが、よく考えると庭が全面工事中のせいかも知れないし、
古い車は多いが一応、新車も1台止っている。
オフィスはどうせ目の前だし、行っても損はないだろう。

オフィスの建物に入ると、なんだか暗くて古い感じの共有スペースが広がっている。
ソファーなどが置いてあるが、今やあまり使われている形跡はない。
今住むT市にはない雰囲気だが、町が違うのでこのあたりでは普通なのかも知れない。

オフィスの人がいるところは、半分ガラス張りだが壁で仕切られている。
100軒強程度のアパートのようだが、オフィスの人は二人いて
二人とも電話で話をしている。
二人とも典型的なアパートのオフィスの女性という感じだが、
普通、100軒程度のアパートというのは
事務員1人でも暇を持て余すようなところであり、少し妙な感じだ。

とりあえず、壁の外の椅子で座って待つことに。

一人の管理人は電話を切ったようだったが、間髪入れずにまた掛けている。
もう一人は、長電話になっているようで、なんだか仕事の話をしているのか、
世間話をしているのかよく分からない。
暇だから、友人と長電話しているのだろうか。
いまや、携帯で通話している人すら少ないというのに・・・。

ドアが少し空いているので、気をつければ会話が聞こえることに気付いた。

「それでね、彼はデフォルトしたの。・・・・。というのも、彼の家族がね・・・。」

やっぱり世間話なのだろうか。
数分後、ようやく電話が終わったのでオフィスの人に話かける。
昔の映画にでてきそうな、化粧が濃くて象のような顔の老婦人だ。

私:「一つ伺いたいんですが、来年秋から部屋を借りたいならいつ頃申し込むと良いですか?」
象:「!・・・。」 ← 絶句してる
私:「・・・。」
象:「あなた、学生?」
私:「いや、大学教員ですが、ここの大学に来年来るかも知れなくて。」
象:「ここは、tax property。低所得者向けです・・。」
私:「!」

どうも一杯食わされたらしい。

動揺して、帰る時に自動車用の出口と入口を間違え、
すぐに気付いて車を右に寄せたが
入れ替わりで入って来たローインカムに
「ARE YOU SERIOUS?!」 となじられる。

ついでに、私の車の後ろには、
釣られて入り口から出ようとしている別のローインカムの
車が続いていたのだった。


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アメリカの治安は本当に日本より悪いのか? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日、ルーマニアで日本人女子大生が殺害された事もあって、
海外の治安に対する関心が高まっている。

少し探せば、犯罪率の国際比較をすることは簡単にできるが
全米一危険かも知れない大学に勤めている私が感じるのは、
国によって治安に対する感覚が違うということに
気付いていない人が多いのではないかということだ。
その結果、逆にリスクを過大評価していることもあるように思われる。

事始めに、単純に犯罪率を比べてみよう。
日本の凶悪犯罪(殺人、強姦、強盗、暴行)は
人口10万人あたり(以下全て同じ)で5.9件、
刑法犯総数は同じく1238件である(2010年警察庁調べ)。
一方、米国では凶悪犯罪が403件、総数が3466件(FBI)なので、
重犯罪に関しては約70倍、窃盗などを含む犯罪総数では約3倍弱ということになる。
こうして見ると、改めて米国は犯罪が多いことが分かる。

米国の犯罪についてみるときに注意しなければならないのは、
場所によって治安がかなり異なるということだ。
私は郊外のT市に住んで、車で25分ほどのデトロイト市に勤務しているが、
デトロイト市の凶悪犯罪が1887件、犯罪総数が5312件なのに対して、
T市の凶悪犯罪は74件、犯罪総数は2165件である。
少なくとも凶悪犯罪に関しては、地域によって非常に大きな差があることが分かる。
ただし、比較的犯罪の少ないT市でも発生率は日本の10倍を超えている。

これにはいくつかの理由がある。
もちろん、銃が規制されていないという面もあるし、
実際に凶暴な人が多いというのもあるだろう。
しかし、法的な意識がしっかりした米国の方が犯罪が実際に
報告される割合が高くなるという面も大きい。
例えば、日本で電車内の痴漢行為は相当な頻度で行われているが、
もしこれが報告されれば focible sex offence にあたるため、
凶悪犯罪とみなされる。
全例が、あるいは少なくとも米国並みにこれが報告されれば
日本の凶悪犯罪件数は統計上急増するだろう。
実際、日本の痴漢行為と同程度の犯罪が、
米国ではfocible sex offenceとして多数報告されている。

一方、凶悪でない犯罪の大半を占める窃盗などについてはどうだろうか。
統計上は、比較的治安の良いT市でも、2000件余と
日本全国平均の1200件余に比べてると若干多いように見える。
しかし、これは実際に住んだ時の実感とは大きく異なる。
感覚として、侵入窃盗に関しては米国は日本よりも安全だ。
犯罪率の違いは、報告率の違いを抜きに考えると、
主にリスクに対する許容度の違いではないかと思っている。

少なくとも私が住む地域には雨戸がある家はほぼないし、
窓に格子がはめてあるようなこともほとんどない。
窓に鉄格子がはめられるのは、シカゴやデトロイト市内の
貧困地域の一部など見るからに危険な地域だけだ。
玄関の鍵も極めて簡素なものでドアノブに鍵を差し込む形式のものである。
もし、日本に同じ様な家があったら即座に泥棒に入られるだろう。
日本では少し用心深い人は、
侵入可能な窓には格子をつけるか強化ガラスにし、
夜や少し遠くに出かける時は雨戸を閉め、
鍵はピッキングができない防犯性の高いものにしている。
しかし統計上日本より犯罪率が高い米国人はそれをしないで
状況を放置している人が多いのだ。
つまり、米国人は感覚的に、現在の犯罪率は許容範囲で
それより低くする必要はあまりないと考えているのではないか。

私の家の防犯性は他の家並みに低いが、
仮に不在中に強盗に入られても、盗んで意味があるのは、
マックと液晶テレビくらいだ。現金もほとんど置いていない。
侵入されるのは気味が悪いが実害はおそらくそれほど大きくならない。
他の多くの家も同様だろう。

先日、コンドの同じ区画内で、白昼堂々トラックを使って
オートバイを盗まれた人がいたが(しかも私は作業を見たような記憶があるのだが)、
その人は新しいバイクを買ってまたその場に置いている。

留守中に窃盗に入られるのは精神的にはショックだろうが、
米国人は、そこまで深刻に考えていない人が多いのではないか。

一方、一般的な日本人はというと、防犯対策を万全にしつつ、
冷凍庫にへそくりを100万円隠したりしている。

アメリカ人は実害が小さければあまり深刻に考えないのに対し、
日本人は不確実性そのものを嫌う傾向にあるのだろう。

どちらが賢い行動なのかは一概には言えないが、
単純に数字の比較だけでは分からない治安の違いもあるということだ。


余談だが、最後にデトロイトの治安に関する小咄を一つ。
A:「デトロイトって治安悪いの?」
B:「いや全然安全だよ。10年住んで車を2回盗まれただけだ。」


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意外と困る一時帰国時の健康保険 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本は基本的に「住民皆保険」(*1)なので
健康保険の加入について意識することはあまりないが
海外に在住している日本人の場合は日本の住民票は抜いているので、
日本に一時的に滞在しても無保険ということになる。

(*1)長期滞在外国人にも加入義務があるので、一般的な
「国民皆保険」という表現は適切とは言えないだろう。

保険に加入する一つの方法は、
住民票を入れて国民健康保険に加入する事だが、
住民票を移す条件が「1年以上継続して生活の本拠が移る」であることを
根拠に自治体によっては断られることもあるようだ。
そもそも住民票が国内の他所に存在していないのに転入を断るという事は
行政判断としておかしいように思われるが、
今のところ原則としてはそういう運用になっているようだ。
また、住民票を入れる事で税制上いろいろと面倒になることもある。

「現地で普段入っている保険を使えば良い」というわけにもいかないのが現状だ。
例えば、米国でポピュラーなHMOという仕組みは、
基本的に保険会社が複数の病院と提携して診療費を標準化するものであり、
生死に関わる緊急の場合を別として、そもそも、米国内ですら
ネットワークの外の病院を利用する事を認めていない。

それなら滞在国で「海外旅行保険」に加入してから日本に「旅行」すればいい、
と思いつくわけだが、事はそう簡単ではないらしい。
被保険者の母国における保険の適用は著しく制限されていることが多いからだ。
私が米国のいくつかの「海外旅行保険」を調べたところ、
そもそも「海外」を「被保険者の母国以外」と定義していたり、
「被保険者の母国への滞在期間は保険期間の六分の一までしか認めない」
としていたりする。
また、高額な保険料を払ってこの条件をクリアしたところで、
日本の医療費を請求するには、日本語の請求書に翻訳専門家による
訳をつけて提出することが必要な場合が多い。
1万円程度の医療費を請求する事は現実的でないだろう。

「それでは仕方がないから無保険で行こう。日本の医療費は非常に安いし。」
ということを考えるわけだが、これまた簡単ではない。
日本の通常の保険診療では医療費は点数によって料金が決まっており、
1点あたり10円、国民健康保険であればそのうちの3割を自己負担すれば良い、
ということになっている。
例えば、千点の治療であれば医療費は1万円で、
そのうち3千円は自己負担、7千円は保険組合から支払われる。
しかし、無保険の場合は自由診療となり、
医療費は病院・診療所が任意に決めることができる。
良心的なところは1点あたり10円をそのまま適用し
自己負担を1万円としているようだが、
営利主義の病院では1点あたり15~50円を請求することもあるようだ。

しかも、こうした病院に対する風当たりが強いかというと、
必ずしもそうとは言えないのが現状だ。
「無保険者」の大半は保険料を滞納した人達や外国人であり、
社会的にはむしろネガティブなイメージを持たれているからである。
滞納した人にペナルティがないのはおかしいという考えもあるし、
お金持ちの外国人には高額な請求をした方が日本の国益にかなう
と考える向きもあるだろう。


こうした状況は、私のような立場の者からすれば非常に理不尽に映る。
私に限らず、日本人留学生、海外企業や大学等に就職した日本人、
海外から海外へ転職する日本人などが一時帰国する際には
必ず発生する問題である。
規模は小さいものの、年々その対象者の数は拡大しており、
社会的に無視できる問題ではないだろう。

日本への一時帰国者を国保に加入させる必要があるとは言わないが、
少なくとも合理的な理由のある日本人無保険者に対しては
10割負担でも良いから、国が保険診療の料金体系で
医療を受ける権利くらいは保障して欲しいものである。

かつて、海外在住日本人と言えば、日本の大企業の駐在員など、
日本の制度によって保護されている人たちが多く、
経済的にも裕福で、社会的な保護の対象とは見なされなかった。
しかし、否応無しにグローバル化が進む冷戦後の世界において、
そうした昔の常識は通用しない。

社会保障制度を現状に即した、全ての日本人にとって
合理的なものにして欲しいものである。


テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

コーラが好きだけど嫌いなアメリカ人 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

商品やブランドに対するイメージというのは国によって違うので面白い。

例えば、マクドナルドやウォルマートは低所得層向けに
粗悪な商品を売る企業としてイメージが定着している。
雑誌の記事では、マクドナルドのハンバーガーのパテを
大量生産しているところを大写しにして、
「ピンクスライム」などと罵倒して視聴者の目を釘付けにする。
最高級の神戸牛だって大量にひき肉にして製造過程に
乗せれば同じ画になるはずだが人々はそんなことには関心が無い。
人々は、ステレオタイプに合った画像を見て、
「あー、やだやだ!インテリな俺は決してマックなどに行くものか。」
という思いを強くする。
行くのは、料理もできない低所得者層か、
悪い習慣から抜けられない低学歴層というイメージである。
ヘルスコンシャスな知識階層をアピールするには、
お腹が空いても昼はサラダで我慢するのがアメリカ流である。
太ったアメリカ人が昼に大きなサラダを食べているのを見ると、
「サラダを食べているヘルスコンシャスな俺かっこいいオーラ」
が出ていて苦笑しそうになる。

有名ブランドに対する負のイメージは、
相対的に一部のブランドの価値を押し上げている。
例えば、アメリカの大規模小売店の Target は
Walmart の負のイメージのせいでかなり得をしている。
Targetは Walmart等の量販店よりもおしゃれで
少しだけ高級というイメージで売っている店である。
Walmartを日本の大手スーパーに例えるなら、
Targetは、西武系のロフトのような雰囲気の店を目指していると言って良い。
アメリカではプレゼントをする際に
ギフトレシートというレシートを付けて
貰った人が返品可能にしておくという習慣があるので、
例え同じ商品であってもウォルマートで買ったものを
プレゼントすることはネガティブなイメージを与える。
そのため、娘がもらった誕生日プレゼントは
ターゲットのレシートが付いているものが多かった。
私が住んでいるT市は平均所得が高いので、
ウォルマートはいつもガラガラである。

コーラとジンジャエールの関係も面白い。
両方とも、健康への影響は対して変わらないと思われるが、
アメリカ人は、ジンジャエールは大人のおしゃれな飲み物で、
コーラは不健康で子供っぽい飲み物であると考えているようだ。
スーパーに行くと、コカコーラにせよペプシにせよ、
コーラは一番の人気商品で、大量に陳列されている。
それに対してジンジャエールは、
見つけるのが困難なこともあるほど少量しか陳列されていない。
圧倒的多数のアメリカ人がジンジャエールよりも
コーラを好んで飲んでいることは間違いない。
一方で、飛行機の中やレストランなど公共の場では
ジンジャエールを頼んでいる人の割合は極めて高い。
コーラに匹敵するか、凌駕すると思われるほどだ。
母集団が同じではないと言えばその通りだろうが、
あそこまで極端な違いを見ると、
「ついジンジャエールを頼んじゃう大人の俺かっこいいオーラ」
を感じてしまう。
ちなみに、ダイエットコーラを飲んでいる人は、
日本で言う禁煙パイプを使っている人と同じだ。
「健康に悪い習慣だと分かっているけど止められないんだよね」
という哀愁が漂っていて、そこに妙な見栄はあまりない。


一見、周りを気にしない米国人も
どうでもいいところで結構見栄を張っているのである。


米国発日本行き航空券が安い件 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

今年の夏に日本に一時帰国するために航空券を取った。

6~7年前は為替や原油価格のせいもあるが
500ドル台でチケットを取る事ができたのに対し、
近年の日米線のチケットは概ね1500-2500ドル前後で推移しており、
価格は3倍以上になった。
航空券が高くあまり帰国できなくなったという人も多く、
世界の距離が縮まる時代に、望ましくない所で距離が広がった。

少し調べたところ、今年の夏は運の良い事に
デルタのデトロイトー羽田便が復活し、
6月末までキャンペーンを打っているようでかなり安く予約できた。

ちなみにデルタのサイトで料金を調べると、
6月30日の出発だと $1184.60、7月1日は $2614.60 である。
え?と目を疑った方もいると思うのでもう少し詳しく書いてみよう。

6月24日(日)発 $1184.60
6月25日(月)発 $1134.60
6月26日(火)発 $1134.60
6月27日(水)発 $1134.60
6月28日(木)発 $1134.60
6月29日(金)発 $1184.60
6月30日(土)発 $1184.60
7月01日(日)発 $2614.60
7月02日(月)発 $2515.60
7月03日(火)発 $2515.60
7月04日(水)発 $2515.60

キャンペーンとはいえ、一般企業ではあり得ない雑な価格設定だが、
潰れても国が守ってくれる企業だとこうなってしまうのだろう。
破綻した大手航空会社は、今すぐにでも全部潰すべきだ。
飛行機会社が潰れても存在する飛行機の台数は一台も減らないし、
困るのは不当に高い賃金を貰っていた従業員と経営に失敗した幹部だけである。
米国内では航空券の価格を上げるために便を減らすということも
一般的に行われているようなので、レガシーコストの高いキャリアが
減れば航空券の価格は下がるだろう。

燃油サーチャージなどと言われると、
航空券が高い理由は原油高だと思ってしまうが、
燃油サーチャージを上げるのは、他の業者に払うコミッションの計算方法や
マイレージによる無料航空券の価格を操作するためなどの形式的な手段であり、
実際には、米国の大手航空会社の高コスト体質(特に人件費の高さ)が
価格支配力を通じて、航空券の価格を押し上げている部分が大きい。

ちなみに理由はよく知らないが、
日本行き航空券はなぜかいまだに日本の旅行会社の方が安く券を手配できる。
まとめて安く買い切って分割して販売したりしているためだろうか。
前回も今回も、子供用のチケットは大幅に安く、
大人用のチケットも若干安かった。
大手旅行会社は JTB USA、HIS USA、IACE USA、アムネット USA
あたりだろうか。

来年以降は、チケットがどれだけ高くなるか分からないので、
今年は日本を楽しんでこようと思う。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

アメリカのプロはど素人 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

アメリカのサービスのレベルが始まったのは今に始まったことではないが、
これは単に店員の態度が悪いということに留まらず、
そもそも能力がない人がやっていることが多い。

夏に、米国大使館でビザスタンプをもらうために申請書を準備しているのだが、
たった1枚の証明写真の要件が異様に細かくA4で5ページにも及ぶ。
ちなみに、デジタルのファイルとプリントアウトしたものの両方が必要。
主な点をあげると、

ー 写真は2インチ×2インチ
ー 目の高さは写真の下辺から測って写真の高さの56-69%
ー 顔の長さは写真の高さの50-69%
ー 顔は全体の中央
ー 背景は白
ー 顔や背景を影で遮っていない
ー 不鮮明でない
ー 色彩は自然な肌色を写している

ー デジタル画像はJPEGまたはJFIF形式
ー サイズはアスペクト比1:1で各辺600-1200画素
ー ファイルサイズは240KB以下
ー 色はsRGB色空間
ー 圧縮比20:1以下

というような感じだ。
ちなみに、カラー写真が必須で色も自然でないと通らないが、
ビザの写真は白黒である。
規定にある「不適切な例」の一つはビザと同様の白黒で印刷すると
「適切な例」と見分けがつかない。
また以前は、顔の面積が全体の50%という条件がついていたので
上記の条件と合わせると論理的には顔が横長の人でないとビザを取れない、
ということになっていたがこの条件は流石に削除されたらしい。

ともかく、いろいろと面倒なのでプロにとってもらおうと思ってでかけた。
影が映り込まないというのは以外と難しいが、
日本の写真屋だったらこんな簡単な条件を満たせないとは思えない。


1件目:ドラッグストアの写真サービス

僕「USビザ用の写真を撮って欲しいんだけど。要件はここに書いてあるから。
  米国大使館は極端に規定にうるさいからくれぐれも気をつけて。」
店員「(適当に読み流して)OK。問題ないよ!」

写真ができてから、定規を持って細かく検証。

僕「この写真、目の位置が規定を満たしてないけど。
  あと耳の後ろ、影が映ってるよね。」
店員「これ影じゃなくて髪じゃない?」
僕「いや、そんなに髪長くないし。」
店員「じゃあ、返金します。」


2件目:プロの写真屋がやってる写真館

僕「USビザ用の写真を撮って欲しいんだけど。要件はここに書いてあるから。
  米国大使館は極端に規定にうるさいからくれぐれも気をつけて。」
インチキ写真家「余裕余裕。パスポートと同じだから(←全然違う)。
   まかせとけ。今、あそこで商談中だから20分待ってて。」
僕「顔は中央って書いてあるけど、上下方向に中央だと目の高さの要件を
  満たさない事が多いから気をつけて。この例を参考にして。」
インチキ写真家「分かった分かった(←聞いていない)。」

その後、無断で別の打ち合わせに入った写真屋、40分後に撮影開始。

インチキ写真家「できたけど。」
僕「サイズ違うし。2インチ×2インチっていったでしょ
  (しかも書面でマーカーで強調したものも2回見せている!)。
  これ、45mm x 35mm だよ。」
インチキ写真家「(プリントしなおして)はい、できた。2人分で20ドル。
   (←もうめんどくさくなってきている)。」
僕「(写真が不鮮明で、娘が撮った手ブレ写真のよう)
  うーん、一応サイズは合ってるけど…。はい、20ドル。」
インチキ写真家「俺、証明写真20年も撮ってるから、安心だぜ!」
僕「なんとかして、もっと影が無い写真撮れないものなの?」
インチキ写真家「無理無理。影ってのは必ず入るものなんだよ。」

→ 大使館のページで写真をチェックしたところ2枚ともピントズレで通らず。
そもそも、あんな暗い事務室で証明写真撮るの初めて見た。

奴「あの写真屋、態度でかいし、なってなかった。
  Willyはもっと文句言うかと思ったのに、意外と言わなかった。
  私が文句言おうかと思ってた。」

(電子メールにて)
僕「今日、撮った写真、ピントズレでpre-screeningすら通らなかったけど。
  通す方法知ってたら教えろ。」

→ 返信無し

(インターネットのレビューサイトにて)
「この写真館は結婚、出産、卒業記念写真なんかを撮っていますが、
  もしあなたがそういう目的でここを使うなら、証明写真の規定すら満たすことが
  できない写真家が芸術的な写真を撮れることを期待しなければなりません。
  幸運を祈ります。」


3件目:スーパー内の写真撮影場所

僕「USビザ用の写真を撮って欲しいんだけど。要件はここに書いてあって
  米国大使館は極端に規定にうるさいからくれぐれも気をつけて。」
おやじ「うーん、分かる分かる。そうだよね~。」

使っていたのはやっすいコンパクトデジカメ!
15分後、写真ができる。

僕「これ、サイズ違うけど(しかも縁がぼろぼろになっている)。
  それに、この目の高さ低すぎ。肩の下数ミリまで入れないと
  規定を満たさないから。」

このスーパー、顔の大きさや目の高さも自動でチェックできる
システムがあるのに何故間違えるのか?!
サイズも枠があるのにいい加減に切っているから5mmも短くなっている。
しかもカッターがぼろぼろなせいか、まっすぐ切れてない。

おやじ「あ、いますぐ急いで取り直すよ。」

なぜか今度は5分後に写真ができた。
写真の左上2割ほどが暗くなっていて絶望的な写真。
あの設備でとったらそんなものだろう。

僕「あ、写真切らないで。自分で切るから。あれ、CD-ROMは?」
おやじ「同じ袋に入れといたよ!」
僕「早いね。どうもありがとう。」

→ CD-ROMの写真は取り直し前の写真!


4件目:スーパーの建物に入居している写真館

僕「ビザ用の証明写真撮りたいんだけど。」
おばちゃん「あー、もう4時だから店じまいだよ。」
僕「いま3時57分だけど、残り3分の勤務時間は何するの?」
おばちゃん「…じゃあ撮ってみるよ。」
僕「この規定に合わせてプリントし、、、」
おばちゃん「あー、無理無理。そのサイズにはできないよ。」

→ 4時になったらしい。


埒があかないので、写真好きの日本人の友人に相談。

友人「アメリカで証明写真って難しいんですよねぇ。とりあえず、
ー 日中、屋内で全体が明るい部屋、時間に
ー 目に影が落ちなければ部屋の明かりも全開に
ー カメラは三脚あるいは他のもので固定
ー フラッシュは発光禁止に
ー シャッタースピードを下げて明るく写るように
ー 顔が暗めに写る場合、照明を持って来て被写体を照らす
ー 被写体と背景との間に少し距離を空ける
ー いざとなれば映らないところにアルミホイルを置いてみる
ー フラッシュが必要な場合は、ティッシュや反透過性の紙をフラッシュに被せる
でやってみて下さい。」

→ 4件の写真屋、見事にどれも守っていなかった。

アメリカで言うプロとはお金をもらうために仕方なく仕事をやっている人、
と考えるのが妥当なようだ。

注)ちなみに僕はお金をけちったのではない。
「必要ならスタジオを使ってちゃんとした写真を撮って規定に合わせて欲しい」
と頼んだ。そうではなくて、彼らは
「ビザ用 → 証明写真 → USパスポートと一緒 → 楽勝」
と脳内で勝手に決めつけているのだろう。
20までしか知らない5歳児に
「80って知ってる?」
と聞いて
「知ってる知ってる!18のことでしょ。楽勝だよ!」
と返される状況、と考えれば分かりやすいかも知れない。


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アメリカの桜と植物耐寒ゾーン -- このエントリーを含むはてなブックマーク

今週、米国では東海岸から山岳部まで広い地域で記録的な暖かさを記録した。
デトロイト周辺でも最高気温は29℃前後まで上昇した。

昨年のデトロイト周辺では、ソメイヨシノの開花は5月初旬だったが、
今年は3月21日にはほぼ満開
になったので40日近く早い計算になる。

sakura2.jpg

(自宅周辺で取った桜の写真)

米国に住んでいても日本人なので春に桜の開花を見られるのは嬉しいが、
米国の全ての地域で桜が見られるわけではない。
5年前まで留学していたウィスコンシン州では
少なくともソメイヨシノを見た事はない。

各植物が米国のどの地区で生息できるのかを知るには
植物耐寒ゾーン地図 (Hardiness Zone Map)を見ると良い。

HardinessZoneUSA.gif
(Copyright by USDA)

ゾーンは、1から11までのレベルで示され11が最も暖かい地域、
より正確に言えば、年間最低気温が最も高い地域だ。
いくつかのレベルは、a、bの2段階に細分化されている。
ソメイヨシノに適した耐寒ゾーンは米国では5~8と言われており、
デトロイト周辺の耐寒ゾーンは5b~6aと栽培に適した気候ということになる。
一方のウィスコンシンは同じ中西部ではあるが、
耐寒ゾーンは4b~5aであり栽培するにはやや寒すぎることが分かる。


同じ地図は日本に関しても作成されている(下図)。
東京、大阪、名古屋など日本の主な大都市圏の耐寒ゾーンは、
概ね 8b ~ 9a となっている。

HardinessZone-japan.jpg
(© Aboc-sha & Co., Ltd. 2001, by courtesy of Aboc-sha & Co., Ltd.)

ただし、気温の高低差が小さい日本の沿岸部では
年間最低気温を元にした耐寒ゾーンは数値が高めに出るようだ。
米国で、8b ~ 9a の耐寒ゾーンを持つ地域は、
西海岸ではオレゴン、カリフォルニア北部、
東海岸ではサウスカロライナ南部、ジョージア南部、フロリダ北部などだが
例えば、フロリダ州都タラハシーの2月の平均最高気温は約20℃と
東京よりも10℃近くも高い。

それでもこの地図は、米国に留学や就職、移住をしようと思っている人にも
それなりに参考になるかも知れない。
「6までならOK」、「4までなら何とか」などと考えるのも面白い。
北東部を除くと、耐寒ゾーンの数値が大きい(暖かい)ほど
大学院の入学難度が高いような気もしてくる。

もちろん、気候を知るには温度以外の条件も重要だろう。
穏やかな気候をもとめて日本からポートランドなどに移住する人は多いそうだが
冬の晴天日数の少なさに嫌気がさして帰国する人も後を絶たないという。
引越を決める前に、天気情報サイトなどで詳しく確認した方が良いだろう。


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米国のクレジットカードの支払い -- このエントリーを含むはてなブックマーク

みなさんは日本でクレジットカードの支払いを延滞したことはあるだろうか?
多くの人にとって答えはノーだろう。

日本のクレジットカードの支払いは銀行口座からの
自動引き落としになっているため、
延滞するのは本当にその日その日の生活費に困っている人だけだ。
日本で大学生をやっていた時、
パチンコにハマってお金に困っている友人がおり
クレジットカードでキャッシングをして
前月のそのカードの支払いに充てたりしていたが、
それでも支払いはきちんとしていたようだ。
ちなみに彼は大手金融機関に就職した。

しかし、米国では事情はかなり異なる。
米国の多くのクレジットカードはミニマムペイメント
呼ばれるシステムをとっており、
例えば残高の2%程度を期日までに支払えば良い、
という形式をとっており支払額は利用者が毎月自分で決める。
そのため、銀行自動引き落としが標準になっておらず、
うっかり払い忘れる人がたくさんでてくる。

30日以内の延滞の場合は、
信用情報上では大したペナルティにならないが、
カード会社はいかなる遅れに対しても
30~40ドルのフィーを課すことが多い。
例えば、10ドルの決済を1日遅れただけでも
30~40ドルのフィーがかかる。
またカードの利用限度額を超した場合に、
利用一度につき30~40ドルの over draft fee
を課すカード会社もある。
うっかり、限度額を超した時に、
昼にマックに行き、ガソリンを入れ、スタバに行き、
帰りにスーパーとドラッグストアに寄って買い物をすれば、
一日で200ドル近い手数料を払わされる事になる。

なお、日本では利息制限法と出資法によって
年利換算で20%を超える手数料を取る事ができないので
こうした法外な手数料の問題は生じていない。
20%という上限が妥当かどうかは別として、日本で
「利息制限を撤廃した方が消費者の効用も最大化される」
と主張している人は、今一度、こうした法律の
実質的な意味を考え直した方が良いだろう。


話がそれたが、そうした手数料を回避するためには
当たり前だが支払いを忘れないことが重要だ。
アメリカのクレカの支払いも自動引き落としにできるのだが、
金融機関は手数料や金利収入のチャンスを失うので
かなり消極的なところもある。
事務手続きに問題が多い事で悪名高い
バンカメ(Bank of America)などは、
残高全額の引き落としのためには
何通も意味不明な電子メールをやりとりした
(引っ越してないのに「住所を変更しましたよね?」
という頓珍漢なメールが2回も来た)挙げ句、
郵送されてきた書面にいろいろ記入して提出し、
昨年の今頃ようやく自動引き落としになった。

引き落としにしておけば後は安心、
と思っていたら、そうは問屋がおろさないらしい。
今日、バンカメから電子メールが届き、

3月17日をもって銀行自動引き落としを停止します。

とのこと。
日本でカード会社が一方的に銀行引き落としを
停止することなどあり得るだろうか?
アメリカはこれだから面倒くさい。
理由を読むと、
「自動引き落としはバンカメが外部業者にわざわざ手数料払って、
やってあげてるんだよね。もうそんなことはやってられないんだよ。」
ということだそうだ。
いや、百歩譲ってそれが本当だとしても、
それはバンカメのシステムが糞だからできないだけでしょ。
ともかく、今後は毎月ホームページにアクセスして払え、との事。

カードを作って1年半経ち、
特典も減って来たのでそろそろ止め時かも知れない。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

米国のガソリン価格とガソリンを安く入れる方法 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

米国でガソリン価格が上がっている。
こちらミシガン州では1ガロン(3.785リットル)あたり3.40ドル前後で、
一時の石油高騰時ほどではないものの、2月としては過去最高水準らしい。

米国のガソリン価格には様々な要因が反映する。

一番大きいのは当然ながら供給要因だ。
原油価格が高騰すれば、ガソリン価格が上がる。
WTIなどの原油価格を見ればその大半は説明できるが、
米国は国内でも多くの原油を産出しており、
地域ごとの供給要因によっても価格が変化するようだ。
数年前には、中西部の精製所で事故があったときに
価格が上がったことがあった。

次に、州や市によってガソリン税が異なる
コネチカット、ニューヨーク、カリフォルニア州などでは
1ガロンあたり70セント弱の税金を課しているが、
南部の州は概ね40セント前後、ワイオミングは32.4セント、
アラスカは26.4セントとのことだ。
同じ州内でも、例えばシカゴ市内はイリノイ州の他地域に比べて高い。

ガソリンスタンドの場所によって値段が違うのはもちろんである。
こちらのサイトでは、全米ほぼ全てのスタンドのガソリン価格を
インタラクティブマップで確認できる。
ただし、ユーザーがアップデートしているので
完全なリアルタイムではない。
もっとも、これは前時代的なやり方であって
最近はスマホのアプリでチェックするものらしい。
しかし、そのためにスマホを買うのはもちろん本末転倒だ。

それに加えて大きいのが季節要因だ。
米国ではガソリンの需要期は人々が旅行に出かける初夏であり、
概ね5月末のメモリアル・デー前後が年間の最高値になることが多い。

冬にガソリンを買いだめしておくことは現実的でないが、
実は更に細かい季節要因を考慮すると、少し安くいれる
ことができるらしい。

まず、一週間単位の季節性(変動)である。
アメリカ人の平均的な行動パターンは、一週間乗って、
週末にガソリンを入れるというパターンだ。
週末夕方のガソリンスタンドに行くと、
混んでいることが多い。
この記事によれば最も空いているのは水曜日だという。

更に当然ながら、時間帯によっても価格は異なる。
現在では電光掲示板で価格を表示しているところが多いので
深夜の方が価格が安いという。
もっとも価格が安いのは午前0時~5時だそうだ。

もう一つ見逃せないのは、
クレジットカードの利用による価格の違いだろう。

最近のガソリンスタンドでは、クレジットカードの利用に
1ガロン10セント程度の追加料金をとる所が多くなってきた。
これだとクレジットカードのキャッシュバックを相殺してしまう。
これを回避する一つの方法は、
ガススタンドのクレジットカードを作ることであり、
もう一つはガススタンドのギフトカードを
クレジットカードで作っておくことだ。
私は、某クレジットカードを使って6%引きで
ガススタンドのギフトカードを購入している。

まとめると、
ガソリンを安く入れるためには
まずクレジットカードでガススタンドのギフトカードを買い、
平均的に安いガススタンドをネットでチェックしたうえ、
水曜日の深夜0時から午前5時頃に入れに行く、
ということになる。

もちろん、そこまでやっても、
せいぜい月に10ドルくらいしか節約にならない
ことは言うまでもない。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

マイノリティーは見た目が9割 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

1月16日の米国は、
Martin Luther King, Jr. Dayの誕生日のため祝日となる(*1)。
キング牧師は、1955年から68年にかけて
米国の非暴力を信念とした黒人公民権運動を主導した活動家である。
その功績から64年にノーベル平和賞を受賞したが、
68年にはテネシー州のホテルのベランダにて暗殺された。

63年8月にワシントンDCで披露された"I have a dream"
スピーチは有名だ(スピーチとスクリプト)。
私が高校に入学して英語の授業で一番最初に読まされたのが、
このスピーチと黒人公民権運動の歴史だった。

以下は、このスピーチの中の一節である。

I have a dream that my four little children will
one day live in a nation where they will not be
judged by the color of their skin but by the
content of their character.

アメリカは、64年の公民権法を通してこの夢を実現させた。

この歴史的な転換は黒人の公民権を回復しただけでなく、
グローバル化時代の米国においても重大な役割を果たしている。

私の母校があるW州M市は、今では全米の中でも有数のリベラルな町だが、
1950年代に研究留学してきた日本人は
環境の良いアパートに入居の申し込みをすると断られ、
汚いアパートに入居することしかできなかったという。
しかし、公民権運動の結果として生まれた1968年の
Fair Housing Act 以降、こうした差別的な扱いは禁止された。

米国が公民権運動以前のような状態であったら、
現在のように多くの国から優秀な人材を流入させることは不可能だっただろう。
黒人公民権運動の実績は、数十年を経た今、
重要性を増す事はあっても決して色褪せることはないのである。

様々な権利が法律によって保証されること、
そして人々があからさまな差別をしなくなることは、
例え、それが形式的なものだと感じられる場面があったとしても、
それ単独で極めて重要な社会的な秩序である。

しかしそれでは、米国では差別は完全になくなったのか、
と言われれば事はそう簡単ではない。
仮に、意識的な差別を全く行わない人の中にも
潜在意識下にいわば先天的な差別が根強く残っていると私は思う。

その原因の一つは、肌の色を超えて、米国社会で
白人が「よく見える人たち」であるからだと私は感じている。
いくつかの例を出そう。

大学で教えていると、
何らかの事情で試験を受けられなかったり、
仕事と授業のスケジュールが合わなくなってしまう学生が出てくる。
そんなとき、学生は個別に私に相談してきたりするわけだが、
学生の言い分を全部聞き入れていると公平性を失って収拾がつかなくなるので
いったん突き放して、まずは何らかの根拠を出すように伝えることが多い。
そんな際、――もちろん傾向としてであるが――
なんとかして私を説得しようとする白人の学生が多いのに対して、
黙ってコースの履修や試験のスコアを諦めてしまう黒人の学生が多い。

引越しや、大きな物を運搬する際に人手を借りることがある。
大抵、来るのはガタイの良い白人か黒人の若者だ。
これもあくまで傾向に過ぎないが、
饒舌にいろいろ説明してくれるのは白人のグループの時だが、
黙々と素早く働いてくれるのは大体黒人のグループの時である。

一般的な傾向として、特に男性の場合、黒人は白人に比べ寡黙で
自分を主張することが少ない傾向にあるように感じられる。
私にはその姿が、大切な場面で自分の立場をきちんと
説明できない日本人と重なって見えることもある。

こうした社会的に生じた性格の違いに加えて、
マイノリティーの行動様式がマジョリティーに受け入れられにくい
という構造的な問題もあるように思える。

例えば、夏場にデトロイト市内を車で走っていると、
ぶらぶらと歩道や中央分離帯を歩いている黒人がたくさんいる。
はじめて通る人は、危ない場所に来てしまったと気が気でないだろう。
しかし、歩いている人を見慣れるにつれ、
外をぶらぶら歩く習慣やその歩き方が、
どうやら黒人や黒人文化に独特なものなのだということに気づいた。
アメリカ人だってどこかの南国に行けば、
ぶらぶら歩いている若者が多くても
それは文化の違いとして受け入れられるだろうが、
アメリカにいるとつい自分たちの物差しでその光景を見てしまうのだ。

再度、キング牧師のスピーチから言葉を借りるならば米国は確かに、
"color of their skin" ではなく、"content of their character"
で人を判断できる世の中にはひとまずなったと言える。
しかし、character を測る物差しは、
相変わらずマジョリティーによるものだ。

マイノリティーは、
服装、礼儀作法、行動様式、コミュニケーションの取り方といった面で
マジョリティーの中で引けを取らない努力が必要である。
結局、マイノリティーは見た目が9割なのだ。

(*1) 誕生日は1929年1月15日だが、祝日は例年1月の第3月曜日。


<後書きに代えて>

人は、肌の色ではなく各々の人間性で評価されるべきだ。
そうした観点からは、本エントリーの後半部を書く事自体が物議を醸す。
実際、僕が本エントリーで書いたことを英語で口にしたことは一度もないし今後もないだろう。
しかしこうした特別な日に、人種問題を体感する機会が少ない日本人にあてて
日本語で書く事には意味があると考えてこの記事を書いた。



テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

リゾート会員権の購入には注意が必要 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

アメリカで人気のタイムシェア・コンドミニアムでいろいろと問題が起きているようだ。

タイムシェアとは日本で言うところのリゾート会員権のようなもので、
主に、100平米前後のコンドミニアム(マンションのような造りのホテル)を
1週間単位で分譲して、利用者が区分所有するものだ。
利用者でもあるオーナーは、毎年管理費を払うかわりに、
毎年一週間、そこに追加費用無しで宿泊することができる。
ARDA International Foundation によれば、
2006年時点で米国には、1,604 のタイムシェア・リゾートがあり154,439の部屋があるという。
各部屋を50人で区分所有するのであるから、オーナーは相当な数に上る。
米国人の世帯の6%弱がなんらかのタイムシェアを所有しているという。
しかも、その数は増加傾向にあるということだ。
それほど人気があるのは、区分所有だと高い価格での分譲が可能である
というデベロッパーにとってのうまみに加え、
オーナーにとっては「所有する」という満足感があるためだ。

下の写真は昨年私が泊まった、ハワイ州カウアイ島のリゾート地にある
Point at Poipu というコンドミニアムだ。
波打ち際を模したプールや、それに隣接するバー、段々になった池、
バーベキュー用グリルなどが庭にあり、なかなか良いコンドミニアムだ。
各ユニットは、主に2ベッドルームで150平米くらいある。

PointAtPoipu.jpg

私は1週間借りただけなのだが、
仮にこのコンドミニアムの1週間を区分所有する権利を
中古会員権市場で買うと、いくらくらいだと思われるだろうか?
日本の感覚で言えば、数百万円程度ということになるのではないだろうか。

しかし驚く事なかれ、現在の価格はゼロである。
掲示板には「会員権を無料で差し上げます」という書き込みが多く見られるほか、
Ebayには、数ドル程度の値段で売り手が会員権を売りにだしている。

価格を決める際にまず参考になるのは、
年間の管理費と、同等の部屋の宿泊費用との差だ。
まず、このコンドミニアムの管理費は一部屋一週間あたりで年間1350ドルにも上る。
実際に利用する・しないにかかわらず、この費用は毎年払わなければならない。
一方、このコンドミニアムは一般客が予約する事もでき、
その費用は、春休みシーズンで一週間1550ドルほどだ。
名目上は年間200ドルの価値があるということになるから、
キャッシュフローベースで考えて、投資利回りを5%とすれば
4000ドル程度の価値がある事になるが、
実際には利用の有無にかかわらず管理費の支払い義務が
あることを考えると、メリットは大きくない。
他のリゾートと1週間単位で交換を希望することもできるが、
手続きの煩雑さや手数料を考えれば、200ドル程度のメリットは吹き飛ぶ。

それに追い打ちをかけるように、
このコンドミニアムの管理組合は、昨年10月に
「敷地内の地下が浸水している症状を解決するため、
一週間分の区分所有につき5900ドルの一時費用(special assessment)を徴収する」
とオーナー達に通知した。

これに驚いた多くのオーナーは会員権を放棄しようと考えたが、
事はそう簡単ではない。
一時費用は通知時点でオーナーの債務となる一方、
会員権の譲渡には管理組合の承認が必要であり、
一方的に返却、放棄、譲渡することは認められていない。
支払いを拒否すれば、それはオーナーの債務不履行となり、
オーナーのクレジットに傷がつく上、
強制的にオーナーの金融資産を差し押さえられる可能性もある。
多くのオーナーは泣く泣く言いなりになって費用を支払うしかないだろう。

Point At Poipu は、一流のリゾート地に立地し、
建物も築17年と比較的新しい部類に入る。
どうして、こんな悲惨な事態になってしまったのだろうか?

行き着くところは、ガバナンスの問題である。
コンドミニアムの管理組合は、
オーナーの代表としてオーナーの利益の最大化に務めるのが本来の姿だ。
しかし、タイムシェア・リゾートでは、所有者は遠隔地に住む一般人であり、
コンドミニアムの経営に携わるような時間的な余裕も十分な知識も無い。
結果として、管理組合が管理会社の言いなりになってしまうことが多いのだ。

例えば、このコンドミニアムの管理費用は、
オーナー1人当たりでは1350ドル程度だが、
一部屋を年間で50人で区分所有しているのであるから、
一部屋あたりだと年間6万5千ドルにも上る。
Point At Poipu の決算書類をインターネット上で見つけることができるが、
収入の22%程度が純粋な手数料として管理会社に「上納」されている。
金額にすると、手数料は年間350万ドルにもなる。
管理会社は物件を所有しているわけでもなく、
実際にかかる人件費や修繕費用などは全て管理組合から支出される。
ほぼリスクの無い経営に、そこまでの手数料を払う仕組みは疑問だ。

浸水解決のための費用がまた凄い。
5900ドルというと大したことがないように思えるが、
1部屋につき50人の所有者がいるので、
費用は一部屋あたりで30万ドルに達する。
このコンドには220部屋程度あるので、修繕の総予算は6500万ドルであるという。
この金額は、同規模の高級リゾートをゼロから建設する費用とほぼ等しい。

こうした経営は、どう考えてもオーナーの総意とは
かけ離れたところにあると言わざるを得ないだろう。

昨年、米国の別のタイムシェア・リゾート
「Raintree Vacation Club and Club Regina」では、
やはり「インターネットなどの設備更新のため」に
各オーナーから約1200ドルの一時金を集めることを通知した。
1部屋あたりだと費用は6万ドルとなり、
各ユニットを全面改装することができるほどの費用だ。
これは、オーナー11人が原告となって集団訴訟になり、昨年11月、
権利を放棄して費用の支払いを拒否した人のクレジットヒストリーを回復する一方、
費用を払ったオーナーには追加の宿泊権を与えるなどの内容で和解した様だ。

しかし、他のタイムシェア・リゾートで同様の問題が再び起こっても、
訴訟に持ち込まない限りオーナーは権利を放棄できない上、
同様の和解や判決に至る保証も無い。

タイムシェアのオーナーは、一時のわずかな利益と満足感のために、
未来永劫、毎年千数百ドルの支払い義務を課せられるリスクを
背負ってしまっているのだ。
しかも、長い目で見るとそうしたリスクの実現可能性はかなり高い。

こうした問題に抜本的な対策をすることは難しい。
一つ考えられるのは、LLC (有限責任会社)を設立して
区分所有権をLLC名義にする事かもしれない。
そうすれば、少なくともLLCを債務不履行にさせて支払い義務から逃れることができる。
米国では、LLCは150ドル程度で設立でき、年間の維持費用も50ドル程度だという。
しかし、管理会社がそのような所有形態を許すかどうかは裁量に委ねられているし、
仮にそれが可能になったとしても、リゾートの所有者と利用者が一致しない事による
利用手数料が課せられる可能性があるという問題も残る。

一部には、不要になった区分所有権を買い取る業者もでてきているが、
そのスキームがどうなっているのかは不明だ。
おそらくは、何らかの手口でLLC名義とするか、
既に債務超過に陥っている第三者や
米国のクレジットヒストリーと無縁な他国の第三者に
名義を付け替えるのだろう。

日本でも、裕福な団塊世代などを中心にリゾート会員権が人気だが、
法的な枠組み自体は米国とさして変わらない。
同様の問題が、将来起こることも十分に想定される。
譲渡に制限がある所有権は、価値がマイナスになりうる、
ということには十分に注意が必要だろう。


おまけ:

Point at Poipu は中々良いコンドミニアムだ。
車で数分の場所に、2010年1月頃に Kukuiula Village が開業され、
質の高いレストランなども豊富になった。
今回の混乱で、当面はお買い得価格で予約がとり易くなるだろうから、
時間とお金に余裕がある人は行ってみるのも悪くないかも知れない。

 


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アメリカ国内線の航空券のお得な予約方法 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

僕が日本に住んでいた時は、旅行なんて全く興味がなかったのだけど、
米国中西部は田舎の上に冬は寒いので気分転換のために
よく旅行をするようになった。
僕の少ない可処分所得のかなりの部分は旅費に使われている。

旅費の中で一番高いのは、航空券だ。
特に近年は原油高とドル安のせいで航空券は信じられないくらい高い。
そこで、アメリカの国内線を予約する時の基本をまとめておこう。

1. 比較サイトを利用する

基本中の基本だが、Priceline, Expedia, Orbitz などの比較サイトを
利用してどこの会社のチケットが安いかどうかを調べる。

基本的に価格はロボットを使って収集されているから、
どこのサイトを使っても値段はあまり変わらない。
取りあえず、2~3のサイトを見て比較すれば十分だろう。

全ての便が同一キャリアの場合には、その航空会社のサイトに行って
値段を再度確認しても良いが、大抵値段はほぼ同じである。

場合によっては、出発地や目的地を少し代えると安くなる事がある。
一般に料金は、乗り継ぎ回数が少ないほど高く、目的地までの距離が遠いほど高い。
目的地の空港の大きさと値段との関係はあまり明らかでない。
また、一般に土曜日発の航空券は高く、週半ば発の航空券は安い。


2. 格安キャリアのサイトをチェックする

私の知る限り、多くの比較サイトは JetBlue や Southwest の
ような格安キャリアの価格をカバーしていないので、
個別に調べる必要がある。

ただし発着場所は限られているので、利用できない目的地も多い。
例えば、北米-ハワイ間にはLCCが存在していない。


3. 予約する曜日を考える

一般的に、航空会社は火曜日になった時点で、
格安価格の航空券をオファーすることが多い。
これが各比較サイトに反映される火曜日の朝から水曜日頃までに
予約するのが、安いことが多い。
週に何度か価格をチェックして、安い曜日に買おう。

なお旅行日程が決まっている場合、
航空券は出発のおよそ2ヶ月前までに予約するのが賢いと言われている。
ただし需要が少ない場合はその後に値下がりすることもあり、
最適な予約時期を特定することは難しい。


4.マイレージを有効活用

航空券の値上がりに伴って、1マイルの価値は上がっている。

航空会社系のクレジットカードを作ると、50000マイルくらい
もらえることもあるので、旅行の数ヶ月前に作っておく、
というのも1回は使える手ではある。
なお、クレジットカードを解約してもマイルが無効となることはないようだ。

マイルの有効期限は最後にマイレージが変動してから18-24ヶ月程度である。
したがって、マイレージに何らかの増減があれば有効期限は延長される。
例えば、マイレージを使った雑誌の定期購読の申し込みなどをして
一部のマイル(500-1000マイル程度)を使用すれば失効しない。
期限ギリギリの時は、赤十字などにマイルを寄付すれば
即座に有効期限が延長される。

ちなみに、小さな子供の航空券を単独で購入することはできないので、
マイルで子供一人分、現金で大人一人分、という買い方は出来ない。
(航空会社に電話すればできるのかもしれないが未確認)。


5. 2歳未満は無料

一方、2歳以上は大人と同額というケースがほとんどだ。
子供がいる場合は、2歳までの旅行が(大変ではあるが)お得である。


旅費のうち、2番目に高いのは宿だろう。
コンドミニアムを割安で予約するノウハウなどを
Web上で公開するのは掟破りだから、気になる方は橘玲氏の書いた
得する生活―お金持ちになる人の考え方
あたりを参考にして頂きたい。


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アメリカの寄付金集め -- このエントリーを含むはてなブックマーク

前回の記事で、アメリカ人は寄付が好きと書いたが
恥ずかしながら私自身もほとんど寄付をしていない。
米国に何年住んでも日本人としての思考は抜けないせいだろう。
先日の毒之助さんの記事は、そうした感覚について触れていて面白い。

実は東日本大震災でも頑に寄付をしなかった(*1)私が、
今年唯一したのは、娘の公立小学校への40ドルの寄付だ。
ケチな自分が寄付をしたのには、それなりの理由がある。

一つめの理由は、寄付の意義が明確であるという点だ。
この寄付は主に、小学校の課外活動や芸術科目など付加的な教材費に当てられるのだが、
こうした資金を通常の市からの教育費で賄うことは難しい。
これは、地方自治体が財政難であるということだけでなく、
市からの教育費というのは、人件費や建設費といった強力な
交渉担当者がいる項目に割かれてしまう傾向が強いからだ。

二つめの理由は、対象が適度に小さいという点だ。
正直、私は「世界の貧困撲滅」とかのために寄付をする用意はないが、
頭が良いのに貧しくて数学を学べない子供が近所にいたら100ドルくらい上げても良い(*2)。
対象が狭すぎれば「寄付」と「対価の支払い」の違いははっきりしなくなるが、
費用の総額が固定されおらず、寄付者のインセンティブが十分に高ければ、
支払う額が任意であった方が価格差別の観点から望ましいだろう。

そんな理由で小規模の学校の寄付は集めやすい部類だと思うが、
それでも集めるためにPTAはかなりエグイ工夫をしていた。

まずは古典的な「XXドル以上の寄付をお願いします」というものだ。
昨年は「50, 75, 100ドル、それ以上、のいずれかでお願いします」
という触れ込みだったのだが、50ドルを選ぶ人が多かったせいか、
今年は「75ドル(あるいはそれ以上)をお願いします」という作戦に変わっていた。
アメリカ人は見栄っ張りだから、そう書けば75ドル未満にする人は少ないだろうし、
切りが良い100ドルまで上げる人も結構多いだろう。

次にやっていたのは「額は公表しないけど寄付した家族名を公表します」というもの。
そして更に「寄付をした人の比率が上位のクラスを途中で公表し」
「最後に最も率が高かったクラスには図書費として50ドル支給します」というものだ。
いわゆる同調圧力をシステマティックにかけてたくさんの人から集めようという作戦らしい。
あまりのエグさにAKBの総選挙を思い出してしまったが、
もともと同調圧力が弱い米国社会なのでその程度では大した問題にはならない。
ちなみに今年は総額で10,500ドル超の寄付が集まり好調だったようだ。


寄付が低調な日本でも、
「寄付の意義を明確に」そして「対象を適度に小さく」
という作戦はもっと練られて良い
と思う。
大学であれば、全学で募集するよりも学科レベルで行う方が集まるだろうし、
目的も極力具体的にした方が良い。
一般的な非営利団体であれば、
受益者のメリットを分かりやすくするためにもっとコストをかけても良いし、
地域別に分けるなどの工夫をしても良いだろう。

「寄付は気持ちよりも総額が大事」ということは動かしがたい事実なのだから
寄付金事業にはビジネスセンスが求められる。


(*1) チャリティーイベントを少し手伝ったにもかかわらず。
ただし親戚が被災したため家族で250ドルほど贈った。

(*2) ブログ上での依頼は受け付けません。


テーマ : チャリティー
ジャンル : 福祉・ボランティア

寄付が好きなアメリカ人、嫌いな日本人 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

今年は東日本で大震災があり寄付をした人も多いと思うが、
一般的に言うと日本人はあまり寄付をしない。
総務省の家計調査によると、
一世帯あたりの年間平均寄付額(2009年)はわずかに2625円だという。

これに対して、米国人は寄付が好きだ。
非営利団体 Independent Sector の調査(本記事の以下のデータも同様)によれば
米国人は年収の3.2%を寄付しているという。
これは年額に直すと1600ドルを超える。
米国人は日本人の50倍もの額を寄付しているのだ。


所得がほぼ同水準の両国でどうしてここまでの違いがあるのだろうか。


仮説1: 税制の違い

よく言われるのは、
「日本の税制は寄付に対して厳しいから日本人は寄付をしない」というものだ。
しかし、両国の税制を比べるとむしろ日本の方が寄付の税制上の恩恵は大きい

まず日本だが、2011年より認定NPO法人等への寄付には、
(寄付金額 - 2000円) × 40% の所得税の税額控除が受けられるようになった。
つまり10万円寄付した場合には、3万9200円の税額控除が受けられる。
また、認定NPO法人等以外の場合でも、特定公益増進法人への寄付は、
(寄付金額 - 2000円)の所得控除が受けられる。
日本の所得税の限界税率は、5%, 10%, 20%, 23%, 33%, 40%の
6区分なので所得水準によって5-40%の減税が受けられる事になる。
また寄付を受けた非営利法人が寄付金に課税されることはないようだ。

一方の米国では、寄付は通常、所得控除(itemized deduction)
として算入されるが、そもそも一般人にとっては所得控除を積み上げる
(itemize する)こと自体が容易ではない。
例えば、夫婦合算で申告する場合、
標準控除額の11600ドルと、積み上げた場合の控除額を比べて大きい方を
申告することができるが、積み上げた方を大きくするのは容易ではない。
積み上げられる金額は主に、寄付金、支払済みの地方税や固定資産税、
支払利息、年収の7.5%を超える医療費等だが、
これが11600ドルを超すのが容易ではないことは想像に難くないだろう。
仮にこのハードルを越えても、米国の所得税の限界税率は
10,15,25,28,33,38%の6種類であり、
メリットは日本に比べて大きいとは言えない。

米国の方が勝っている点をあげれば、
日本では寄付の控除を受けるには確定申告が必要だが、
米国では寄付の有無に関わらず確定申告が必要ということくらいだろう。


仮説2: 貧富の格差の違い

米国は貧富の格差が大きいから金持ちがたくさん寄付をする、
というのもよく言われることだ。
しかし、裕福でない米国民が寄付をしていないかというとそうではないようだ。
年収25,000ドル以下の人が年収の4.2%を寄付しているのに対し、
年収75,000ドル以上の人は年収の2.7%の寄付しかしていない
(NY Times の記事)。
もちろん、退職後の裕福な低所得者層による効果を考慮する必要はあるだろうが、
裕福な退職者は往々にして多額の年金を受け取っていることも事実である。
また、アメリカの全世帯の89%が何らかの寄付を行っているとの調査結果もある。

米国では主に、お金持ちが寄付しているというのは正しくないようだ。


仮説3: 米国では寄付が名誉になる

確かに、米国では大学の施設や小学校の名称など
あらゆるところに寄付した人の名前が冠されている。
以前に訪れたオレゴン大学のビジネススクールでは、
オフィスの一部屋一部屋に寄付をした人の名前が冠してあった。

日本でも、高額の寄付をした人は施設に名前を冠することができるし、
記念碑に名前を掲載するという習慣も一般的だが、
この点に関しては米国の方がうまくやっていると言えるだろう。

しかし、仮説2のデータから判断するに、
こうした差は普通の経済水準の米国民が多くの寄付をすることの
大部分を説明することはできないように思う。



結局のところ、米国民に比べ日本国民が寄付をあまりしないのは、
文化や習慣の違いによるところが大きく、上のような合理的な
理由だけで説明することには無理がある
ように思われる。

日本人が寄付をしないのは、
「社会に不条理な不平等があまり存在しない」
と感じているせいなのかも知れないし、
「そうした不平等が存在しても政府が社会保障政策として行うべきだ」
と思っているからなのかも知れない。

最も資本主義的と思われている米国で、
寄付にせよ、宗教にせよ、社会の歪みを別のところで直そうとする国民が
多いのは必然
と言えるだろう。


テーマ : チャリティー
ジャンル : 福祉・ボランティア

アメリカの健康診断と健康保険 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

今日は、大学で健康診断があった。
健康診断と言っても、身長、体重、ウエスト、血圧、それに
血液検査しかないので気休め程度のものだ。
大学のウェブサイトで都合の良い曜日・時間の予約を取って
生活習慣に関するオンラインのアンケートに答えて
当日、実施している会議室に行く。
誓約書を書かされたりするところが米国らしいが、
診断自体は別に日本の団体健康診断とあまり変わらない。

違う点の一つは、参加が自由であるということだ。
日本の職場にいた時は、任意ながらも半ば強制参加のような行事で
毎年拒否している人が話題になったりするレベルだったが、
うちの大学では登録も自主的にやるだけだ。

もう一つ違う点は、参加すると保険会社経由で
インセンティブ(報奨金)が支給されたりする事だ。
2年前は100ドル支給されたためか、予想を大幅に超える参加率だったそうだ。
昨年は、何も無かったようなのでゲンキンな私は受診しなかった。
今年は50ドル。まあやった方が良い事には変わりないし受ける事にした。
保険会社としては、
簡単な健康診断でも、高血圧や心臓病、
肥満などの予防に繋げることができるし、
被保険者の健康に対する意識も高まるので、
十分ペイするということなのだろう。
アメリカの健康保険はこの他にも
ジムにたくさん通った人にインセンティブを出したりと
いろいろな工夫をしている。

それでも医療費が異常に高騰しているのは
雇用主や政府が保険料の大半を負担するという仕組みが、
契約者のモラルハザードと医療業界の野放図な拡大を招いている
ということだろう。

もちろん米国の医療制度の高コスト体質にはいくつかの構造的な問題もあるし、
医療訴訟のように国民感情に委せて社会コストを上げている点も問題である。
しかし究極的には、
医療システムを社会主義的に運営するか、
完全に資本主義に任せて「貧乏人は自力で生きろ」という世の中にするか、
どちらかしかないのかも知れない。

来年の私の家族用健康保険料は年間で1万4千ドルを超える。
これでも HMO (health maintenance organization)
という仕組みを使った比較的割安なほうで、
自由に好きな病院に行けるプランでは2万8千ドルを超えるものもある。
全額、給与から自分の判断で払うならもっと安い保険を選ぶだろうが、
雇用主負担が8割の現状では、「まあ高いけど払っとくか」となってしまう。
(一応、高い保険は自己負担を高くするなどの工夫は施されている。)

8割も政府や雇用主が出してくれるなら何でも買いたくなるだろう。
かつて日本では雇用保険が、習い事をすると授業料が8割還付される制度を実施して、
一時的に英会話教室などの業界が潤った。
そのおかげで、日本人は十中八九、英語がネイティブ並みになった。
そんなことを何十年も続けているのが米国の医療制度なのだから、
このまま行けば100年後に米国の平均寿命は120歳を超えるに違いない。

日本の健康保険制度はそれなりに上手くいっているように見えるが
それはあくまでも公的な負担と完全な価格統制という社会主義的な仕組み
をセットにした結果であって、
民間の保険制度が機能しているというわけではない。

そのあたりの事は、アメリカ人も日本人も認識しておいて損はないだろう。

「医療崩壊」(小松秀樹)臨床医による本。
日本の現状を知るためにお勧め。


テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

雇用ベースの米国永住権(グリーンカード)について -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本人が米国の永住権(permanent residency)を取るには、主に
1.家族関係による申請、
2.雇用ベースの申請、
3.抽選による多様化プログラム
の3つのカテゴリーが存在する。
(そのほかに、難民(political asylum, refugee)による申請がある。)

先日、弁護士の方と永住権申請の相談をしてきたので
今回は雇用ベースの米国永住権について少し書いてみたい。

まず雇用ベース永住権の申請には、
当然ながら米国での雇用先が存在する必要があるが、
そのためには労働ビザを取得していなければならない。

日本人の米国内就労者で比較的多いのは、
H-1B (専門職全般), L-1 (駐在員)
F-1-OPT (米国大学・院卒業後の就労者), J-1 (研究員など), E2 (投資家、自営業)

などだ。

このうち、H や L は、永住権との同時申請 (dual intent と呼ばれる)
が合法的に認められているので問題はないが、
F, J, E などは、dual intent が原則として認められていないため、
手続きは waiver を通した複雑なものになるようだ。
特にJビザは本来、滞在期間終了後に2年間は本国に帰国しなければいけない
ルールがあるため、注意が必要である。

私の場合は順を追うと、F-1-OPT → H-1B → 永住権申請 となっている。
H-1B は3年毎更新で最長6年までとなっているので、
H-1B取得後、6年以上米国内で働くためには永住権取得が必要条件となる。
もちろん、予定が未定でも早めに申請しておくに越したことはない。

雇用ベースの永住権には、EB1 ~ EB5 まで5種類のカテゴリーがある。
このうち、EB4 は宗教関係などやや特殊なビザであり、EB5は投資家向けなので、
一般的な雇用によって取得できるのは主に EB1 ~ EB3だ。
それぞれ、下記のような分類となっている。

EB1: 著名な研究者や経営者など
EB2: 専門職従事者(博士, 修士, 5年以上の関連職務経験のある学士)
EB3: それ以外の就労者(特殊技能のある者、学部卒以上の専門職従事者)

数字が小さいカテゴリーほど優先度が高く、求められる能力のレベルも高い。
出身国によっても adjustment of status と呼ばれる最終段階の待ち時間が変わる。

出身国による現時点の待ち時間は、以下の通りだそうだ。

EB1: 待ち時間なし
EB2: 中国・インド:4年3ヶ月、その他:待ち時間なし
EB3: 中国:7年2ヶ月、インド:9年3ヶ月、その他:5年10ヶ月

ただし、この待ち時間は例えば、
4年3ヶ月前に申請した中国・インドの人の申請が審査中ということであり、
今後の待ち時間を保証しているわけではない。

私を含めてほとんどの専門職従事者は、EB2 で出す事になる。
普段大国の勢いに押されがちな少数派外国人たちも、
永住権申請に関しては大きなアドバンテージがあると言って良い。


永住権を取得する最大のメリットは、
米国内での転職や就労にビザの再申請が不要になること
だろう。
同時に家族も永住権を取得すれば、
FビザやHビザでは働けなかった配偶者なども就労が可能になる。
(ちなみに、Jビザ や Lビザの配偶者ビザは労働許可をもらえば就労が可能だ。)

永住権は、1年以上米国外に連続して滞在すると効力を失うが、
適切な申請を行うことにより2年未満の連続した国外滞在が許される。

また、事例は多くないが、永住権を取得して5年間が経過すると、
市民権 (citizenship)を申請することができる。

永住権と市民権には、直ちに生活に影響するほどの違いはないが、
永住権は外国人に対し米国が条件付で認めた権利であり、
市民権は米国民としての権利であるという点に鑑みれば
国外滞在の制限、更新の有無のみならず、
例えば、違法行為を犯した時などの権利の強さには
根本的な差があると考えるべきだろう。
一方で、2重国籍を認めない国の出身者は
元の国籍を放棄しなければならない。

上記のように、各ビザと永住権のルールを見ていくと、
米国で長期就労するためには、米国大学院での学位
(修士または博士)がいかに有用であるか

ということもまた、よく理解することができる。


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プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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   応用も充実。学部上級。

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